たしか13年ほど前だったと記憶しているがコンプエース誌で連載していたエッセイ漫画「進め(以下略)で
作者の平野耕太氏が「なんで俺たちには『げんしけん』なかったんだ?」と
「オタク」という言葉自体が無かったが故に世間を気にせず我が道を進めた世代と
屈託もなくお天道様の下をオタク趣味をさらけ出して歩ける世代の狭間に生まれ、
Mの事件の直後に日陰者であるオタクとしての青春時代を過ごさねばならなかった自分の境遇を嘆いていたが、
それぐらいオタクが堂々と何気兼ねなく過ごせる「居場所」がある、というのは大きな事だったのである。
久しぶりに電撃文庫で作品を発表した弘前龍の新作はそんな「げんしけん」の時代すらもが過去になった
2010年代=ポスト「げんしけん」の時代を生きるオタクの在り様を切り抜いた様ななかなかに苦み走った作品だった。
主人公の荒川亮太はアニメ砂漠の静岡出身。
20世紀末の子供向けアニメ「コロッケ大百科」の再放送が最終回を迎えると、再び「コロッケ大百科」が第一話から
再々放送を始めるというアニメオタクからすれば地獄の様な環境を嫌って高校進学を機に東京に出てきた少年である。
物語はそんなアニメオタクの理想郷として出てきた東京での二年目を孤独の中で迎える場面から始まる。
亮太が通う九十九学園の名物集団、十年ほど前に流行ったアニメに影響された女子生徒が
「大いに秋葉原を盛り上げる」と称して始めた「OTA団」というアニメを中心としたオタク文化を愛好する謎部活。
ゲーム原作の覇権アニメ「反こね」のコスに身を包んだコスプレイヤーのオタヒメさん以外は女装レイヤーという構成で
ダンスを踊るパフォーマンスを見せるOTA団が勧誘活動に勤しむ他の部活の中でも注目を浴びるのを
横目に見ながら通り過ぎようとした亮太はOTA団の勧誘ビラを死んだ目をして配る一人の女子生徒と鉢合わせになる。
死んだ目をしてビラ配りをしていた女子生徒・一奈々子を亮太は心中で「イナゴさん」という蔑称で呼んでいた。
コスプレ姿の「踊ってみた」動画で5万回の再生を誇るオタヒメさん同様、
イラスト投稿サイトで一位を何度も取る才能を持つが三ヶ月ごとに「嫁」が変わるタイプの絵師である奈々子と
OTA団の一員として過ごした一年前の4月から6月を苦々しい思いで脳裏に蘇らせた亮太に追い打ちをかける様に
奈々子はOTA団に戻ってこないかと勧誘するが、「俺はリア充になる」という想いを秘めた亮太は素気無く誘いを袖にする事に。
二年への進級に伴うクラス替えの初日にリア充集団からカラオケに誘われたのを好機とばかりに二つ返事で
承諾した亮太だったが、案の定カラオケボックスではリア充集団特有の「ウェーイ」なノリに付いていけないまま
ひたすら居心地の悪さを味わう羽目になってしまう。
誰も亮太に気を配ってくれないそんな空間で唯一人亮太とハイタッチをしてくれた名前も知らないまま
心中で「ウェーイさん」と呼ぶことにした女子生徒が帰りが東西線という事で共に帰路に就く事に。
上井恵久と親切にも名前を教えてくれたその女子生徒が歩きスマホの状態で街を行くのを「危ないよ」と
注意した亮太に恵久は「それならウチが危ない目に遭ったらアラカワが守ってくれる?」とからかわれてしまう。
勘違いするまいと挙動不審に陥った姿を恵久にケラケラと笑われた亮太だったが、ふと何かが燃える臭いを嗅ぎ付ける。
地元の田舎で嗅ぎなれたプラスチックを火にくべた時そっくりの臭いに火事の危険を感じ取った亮太は恵久と
火元と思われる公園に立ち入るが、そこにいたのは九十九学園の制服を着た一人の女子生徒、奈々子だった。
奈々子が火にくべているのが全て「反こね」のグッズだと知った亮太は2期が始まったばかりのこの時期に
何でグッズを燃やすのかが理解できないまま奈々子に声を掛けるが奈々子は変な言い訳を重ねた挙句遁走。
火の始末ぐらいはしてやろうかと思った亮太だったが、火力で弾けたプラスチック製品が焚火の中から飛び出し
恵久に向かった事で亮太はとっさに恵久に覆いかぶさって守る形に。
髪に火がついてしまった亮太は池に飛び込んで消火するが、ずぶ濡れのまま帰る訳にもいかず、恵久の家に向かうが…
脱オタを図ったオタクが憧れのリア充集団に加わろうとした挙句、居心地の悪さ=居場所の無さを味わう姿を
描いた作品はそう珍しくない。
しかしオタクが平野耕太の世代に「なんで俺たちには…」と悔しがらせたオタクが集うオタク趣味の部活の中にさえ
自分の居場所を見つけられない姿をここまで赤裸々に描いた作品、というのは寡聞にして見た事が無かった。
オタクの集団がオタクにとっての居場所でなくなってしまった時代、まさに憧れの「げんしけん」空間が
過去のモノとなってしまったポスト「げんしけん」の時代の作品であり、エポックメーキングな作品である。
物語はオタクの理想郷を目指して東京に出てきたけど、オタクの集団の中に自分の居場所を見つけられなかった亮太、
そんな亮太から三ヶ月ごとに「嫁」を変える愛情の無い絵師と蔑視されながらOTA団に所属し続ける奈々子、
亮太が目指しながらやはり居場所を見つけられなかったリア充集団の住人・恵久の三人を中心に描かれる。
本作の面白い点はリア充とオタクという一見すると対照的に思える集団に「大した違いは無い」と言い切った点にある。
リア充集団、スクールカーストを題材とした作品では主人公と対立する集団の様に描かれる教室の中心を占めるグループ、
クラスの王様・女王様の顔色を伺いながら少しでもその傍に寄ろうと微妙なパワーバランスに配慮し
空気を読む事を強いられ続ける人間の集団、そんな感じで描かれる事が多い事は多少ライトノベルを読み耽っている方なら先刻ご承知かと。
既存のライトノベルであればこれと対置されるオタクの集団は気楽に過ごせる懐の広さを持った集団として描かれる事が多いが、
本作においてはオタクの集団が「覇権」という商業主義的な言葉によって三ヶ月=アニメのワンクールごとに推す作品を変え、
好きな作品よりも売れている作品に価値を見出し、オタクにとってスキャンダラスと思われる騒動が起きた作品は
それこそ親の仇の様に叩きまくり、それに同調しない人間には排他的な圧力を掛けてくる偏狭さに満ちた存在として描かれている。
主人公の亮太が本作でオタクの集団として描かれるOTA団を辞めた理由もまさにそこにあり、
一年前に覇権アニメと目されながらヒロインを演じた声優に彼氏がいたという報道で炎上した作品「アイドルファイブ」が
炎上したネットのノリに釣られる様に「乗るしかない、このビッグウェーブに」と円盤を燃やせ、作品は徹底的に叩けと
それまで楽しく鑑賞してきた筈の作品に対して掌を返す様に「ノリで」バッシングを食らわせる…
そんなオタクのノリについていけなくなった事が明かされる。
迫害される存在としてオタク趣味を楽しまざるを得なかった世代としては現実に、特にネット上で見聞きする近年の風潮、
例えば消費者に過ぎない筈のオタクがやたらと作品の売行きを気にする様になった事や、
特定の作品が売れている状況を自分の手柄の様に誇り、売れ行きが今一つの作品を「爆死」と蔑視する事に
ひどく違和感を感じていたのだが、それがいよいよ拗れてオタクの集団に属するためには売れている作品を
「好きでもないのに消費し、推さなければならない」という事態を産むに至った事で
「好きな作品を気兼ねなく好きだと言いたくてオタクの集団に属しているのに本末転倒なのでは?」と思っていただけに
この亮太の当惑する姿に「こういう状況を本末転倒に感じるのは自分だけでは無かったのだ」と些かホッとした。
空気を読み、空気に逆らわないという同調圧力に支配されているという点においてリア充もオタクも何も違わない、
そんな「自分が好きな物を好きと言えない」息苦しさに満ちてリア充を目指そうがオタクに加わろうが
居場所なんかどこにも見付からないという砂を噛むような生き方を強いられている元オタク、それが主人公の亮太である。
亮太にとってどこにも居場所が見付からない状況は作中でも「ビジュアルは最高だが操作性がクソな3Dゲーム」と表現され
亮太自身が思う様に動いてくれないアバターを操作している様な生き方しかできない状況に苛立ちを募らせている事がよく伝わってくる。
物語はそんな亮太が再会した奈々子とリア充集団の中で関わる事になった恵久という二人の少女が、共に息苦しさ、
生き辛さを抱えている事を亮太が知る形で進行する。
大好きだった「アイドルファイブ」を好きと言えなくなった、叩かねばならなくなったOTA団でイラストの才能を
とある秘密を守る条件と引き換えに売る形に縛られ続ける奈々子。
中学時代に空気を読み違えた事でクラスの女王の怒りを買い、クラスの女子全員を敵に回して地獄のような苛めの日々を
過ごさざるを得なかった苦い過去を持ち、誰も敵に回さない立ち回りを自らに強いている恵久。
二人のタイプの違う少女の抱えた状況がリア充・オタクという二つの集団の間に大した違いが存在せず、
「空気」とう名の同調圧力に支配された集団と化している点で共通している事を見事に表している。
そして物語もその厄介極まる「空気」の問題を軸に展開される。
亮太が恵久と関わった事で事で生じた嫉妬深いクラスの女王様が想いを寄せる男子生徒に言い寄られた恵久の
「偽彼」を演じる事を引き受けた亮太が、恵久を中学時代の悪夢の再来から守る事に成功する一方で、
その動きが亮太と恵久という「リア充様」に関わった奈々子を危機に追い込む事に。
「三ヶ月に一回『嫁』を変える必要なんてない」と投げかけた言葉が拗れて亮太と奈々子の関係は一度は危機に陥るものの、
自意識と承認欲求を自分の投稿した動画の再生回数と、「オタサーの姫」として持て囃すOTA団の男子部員の賞賛で
異常に肥大させ、現実とオタク的概念の区別が曖昧な炎上しやすい「空気」による支配を振りかざすオタヒメに追い込まれ、
一度は縁を切ろうとした奈々子が亮太になりふり構わず助けを求めてきてからの展開が本作のクライマックスなのだが、
この奈々子や亮太が愛してきた作品を炎上させた「オタクのノリ」をSNSで自意識を肥大させた「オタサーの姫」が
武器として操る状況などはある意味牧歌的なオタクの世界を描いていた「げんしけん」が過去のものになり、
オタク仲間からの賞賛で承認欲求を満たすためにオタサーに属する2010年代のオタクの姿を如実に描いているのではないだろうか?
本作で描かれるリア充とオタサーの構図はこの「承認欲求と自意識を満たすためには手段を択ばない」タイプの人間が
同じ様に仲間からの賞賛とグループ内での地位を求めて(それがリア充志願者かオタクかという違いはあれど)
群れる人間の中で、自分に素直に生きる事を願う異端者から「居場所」を奪おうと同調圧力を操作する
時代の病理とでもいうべき部分にある……この構図を踏まえて読むことで本作で感じる読者の違和感は整理されるのではないだろうか?
話自体が動くのは若干遅いが、これ自体は本作においては問題にならない。
なぜなら本作で本当に描かれるべきはポストげんしけんの時代における「オタクの集団がオタクの居場所でなくなった時代」に
リア充であれオタクであれ「個人」として生きる場所を奪われた少年少女の息苦しさだからである。
これに関しては本当に、言い方を変えれば露悪趣味的なまでに描き出すことに成功していた。
しかし、隙あらばいつでも炎上騒動の尻馬に乗り、商業主義の虜になって「三ヶ月ごとに全てを過去にする」という
現在のオタクの在り方に眉をひそめておられる方には「よくぞ、この状況を描き出してくれた」と頷ける内容となっている。
デビュー作でその才能に注目させられたものの、二作目・三作目と新作を発表するたびに質がガタ落ちし、
一度は見限りかけた弘前龍だったが、まさかこうやって完全復活を遂げるとは思いもよらなかった。
「俺のかーちゃんが17歳になった」ではシングルマザーの問題や避けられない老いといった現代的なテーマを
ライトノベルに落とし込む事に成功していた作者が「居場所がどこにも見つからない」同調圧力に支配された
生き辛さに支配された現代の風潮を再びライトノベルに落とし込むことに見事に成功した作品。
復活を遂げた弘前龍とこの恐るべき作品を世に送り出した電撃文庫編集部に大いに賞賛を贈りたい。
Kindle 価格: | ¥693 (税込) |
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リア充にもオタクにもなれない俺の青春 (電撃文庫) Kindle版
一奈々子(にのまえ・ななこ)。オタク女子。3ヶ月ごとに「嫁」が変わるタイプの絵師。おどおど小動物系の美少女。口には出さないけど、俺は密かに≪イナゴさん≫と呼んでいる。上井恵久(かみい・めぐ)。リア充女子。カラオケでタンバリン叩いてた人。いつもいい匂いがするクール系の美少女。こっちも口には出さないけど、俺は密かに≪ウェーイさん≫と呼んでいる。クラスこそ一緒だけど、イナゴさんも、ウェーイさんも、俺とは別世界の住人だ。リア充でもオタクでもない俺は、きっと深いかかわりを持つことなく終わるんだろう。……そう思っていた。あの夜、あの公園で、あんな秘密を知ってしまうまでは。2017年、オタクがメジャーになりすぎた時代。何にもなれない「俺」たちに贈る、新・青春ラノベ開幕!
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2017/10/6
- ファイルサイズ14973 KB
この本はファイルサイズが大きいため、ダウンロードに時間がかかる場合があります。Kindle端末では、この本を3G接続でダウンロードすることができませんので、Wi-Fiネットワークをご利用ください。
- 販売: Amazon Services International LLC
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商品の説明
著者について
●弘前 龍:第19回電撃小説大賞、最終選考候補作『俺のかーちゃんが17歳になった』でデビュー。
登録情報
- ASIN : B075ZC11CG
- 出版社 : KADOKAWA (2017/10/6)
- 発売日 : 2017/10/6
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 14973 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 282ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 306,499位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 2,974位電撃文庫
- - 32,720位ライトノベル (Kindleストア)
- カスタマーレビュー:
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2017年9月10日に日本でレビュー済み
レポート
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23人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2017年9月9日に日本でレビュー済み
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リア充、オタクをいずれも同調圧力の強い集団という括りで描き、そこに馴染めない者として主人公らを描いています。
おそらく、描きたいのは血沸き肉躍るストーリーではなく、主人公らを通じて描いている世相なんでしょう。
オタクという集まりが学級の中心のグループに馴染めない生徒にとってのアジールになっていた頃とは異なり、オタクという集まりも排他性を帯びていて、内ゲバ的な動きがあるという描写は面白いです。「3ヵ月」=1クールという期間が強調されているのも面白いですね。
また、何でもない日常こそが青春であるという結論にはどことなく『ゼロ年代の想像力』(宇野常寛著、早川書房)で説明された『涼宮ハルヒの憂鬱』以降の批評が思い出されます。
しかし、レーベルは電撃文庫じゃなくて、もう少し年齢層高めにしたレーベルの方がいいんじゃないのかなあ…。
おそらく、描きたいのは血沸き肉躍るストーリーではなく、主人公らを通じて描いている世相なんでしょう。
オタクという集まりが学級の中心のグループに馴染めない生徒にとってのアジールになっていた頃とは異なり、オタクという集まりも排他性を帯びていて、内ゲバ的な動きがあるという描写は面白いです。「3ヵ月」=1クールという期間が強調されているのも面白いですね。
また、何でもない日常こそが青春であるという結論にはどことなく『ゼロ年代の想像力』(宇野常寛著、早川書房)で説明された『涼宮ハルヒの憂鬱』以降の批評が思い出されます。
しかし、レーベルは電撃文庫じゃなくて、もう少し年齢層高めにしたレーベルの方がいいんじゃないのかなあ…。
2017年9月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「オタク」のつもりだった荒川亮太は高校一年生の4月から6月までのオタク部活動の挙句、自分が「1クールごとに崇拝対象が移っていくコアなオタク」からは程遠い単にアニメ好きの一般人に過ぎないと思い知らされました。そこで二年生のクラス替えまで待って今度は「オタク」の対極である「リア充」に加わろうとするものの「3か月ごとに好きな人が変わっていく軽ぅいリア充」に付いていけない。分かったのは、OTA団に残っている一菜々子(にのまえななこ、イナゴさん)がオタクの中で無理を重ねて苦しい思いをしていることと、リア充仲間の中心に居る上井恵久(うえいめぐ、ウェーイさん)もまた空気を読んで常に気を配りながら息苦しくリア充を演じていること。
それぞれに同調圧力の強いオタク集団、リア充集団からの無言の強制、迫りくる仲間外れの恐怖にさらされる二人を見て、両極端の狭間で自分って何と悩んでいた一般人亮太は彼女らを守るため動き出します。極北のオタク、南の端のリア充、どちらも寒い、暮らしにくい世界。その間に自由に自分の好きを貫ける中庸の道、菜々子さんとも恵久さんとも仲良くできる理想の地があるのか?
読んでいると亮太と共に未開の地を探検している感じもあって楽しいです。亮太がリア充とオタクの相対性理論とか持ち出したり、必死になったり、あちこちで笑えます。一方、ラスボスとの戦い的な緊迫感の溢れるシーンもあって、飽きません。
異世界も魔法も無い普通の高校生活の中の一般人によるこんな冒険の物語。待ってましたよ。
恵久は真にリアルな人間関係を大切にしようと分け隔てなく真っ直ぐに心を砕いてくれる女の子で、スーパー共感力は神々しいほど。こんな娘に恋をせずしてどうする、読者諸君!
一般人に強くお勧めします。オタクの業の深さも学べますよ。
それぞれに同調圧力の強いオタク集団、リア充集団からの無言の強制、迫りくる仲間外れの恐怖にさらされる二人を見て、両極端の狭間で自分って何と悩んでいた一般人亮太は彼女らを守るため動き出します。極北のオタク、南の端のリア充、どちらも寒い、暮らしにくい世界。その間に自由に自分の好きを貫ける中庸の道、菜々子さんとも恵久さんとも仲良くできる理想の地があるのか?
読んでいると亮太と共に未開の地を探検している感じもあって楽しいです。亮太がリア充とオタクの相対性理論とか持ち出したり、必死になったり、あちこちで笑えます。一方、ラスボスとの戦い的な緊迫感の溢れるシーンもあって、飽きません。
異世界も魔法も無い普通の高校生活の中の一般人によるこんな冒険の物語。待ってましたよ。
恵久は真にリアルな人間関係を大切にしようと分け隔てなく真っ直ぐに心を砕いてくれる女の子で、スーパー共感力は神々しいほど。こんな娘に恋をせずしてどうする、読者諸君!
一般人に強くお勧めします。オタクの業の深さも学べますよ。
2019年3月7日に日本でレビュー済み
異世界召喚無双物はフィクションとして受け入れられるのに現代学校青春物だと途端にリアリティを求めだす人が多いのはなんなんでしょう
あとがきで作者も書かれてましたが、ガチヲタ、ガチリア充には受け入れられない人もいるかと思います
こんなんねーよ白けるわってね
ですがにわかの私にはすんなりと楽しめました
昔とある人も言ってましたよね「フィクションをフィクションと見抜ける人でないとラノベを読むのは難しい」と
伏線に対する説明パートが丁寧すぎて気づきや発見の楽しみを奪ってしまっているレベルなのはどうかと思いますが
刊行ペースがとても遅いので2巻で打ち切りなのか次が出るのかわかりませんが
2巻でも一応話は締まってますが、次巻が読みたいのでレビューで応援させていただきます
3巻発売に期待してます
あとがきで作者も書かれてましたが、ガチヲタ、ガチリア充には受け入れられない人もいるかと思います
こんなんねーよ白けるわってね
ですがにわかの私にはすんなりと楽しめました
昔とある人も言ってましたよね「フィクションをフィクションと見抜ける人でないとラノベを読むのは難しい」と
伏線に対する説明パートが丁寧すぎて気づきや発見の楽しみを奪ってしまっているレベルなのはどうかと思いますが
刊行ペースがとても遅いので2巻で打ち切りなのか次が出るのかわかりませんが
2巻でも一応話は締まってますが、次巻が読みたいのでレビューで応援させていただきます
3巻発売に期待してます
2018年6月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
確かにオタクやリア充については単純化されていたかもしれません。しかし、この作品はオタクはこうあるべきだ、リア充はこうだといったことを伝えたいのではなく、集団内での「同調圧力」をテーマとしているので些細な問題だとは思います。単純化した結果、メインテーマをわかりやすく取り上げられていると思います。ただ、ストーリーとしては盛り上がりに欠けると思います。次回作に期待です。
2017年12月11日に日本でレビュー済み
オタクの世界がこんなんだったら多分自分もオタクじゃないって100%断言できる
三ヶ月で限定とかふざけんな!って感じだね。 笑笑
お話は面白かった! めっちゃ笑ったし
なんていうかいい話だけどどこが良かったか聞かれると?てきな
ただ青春してるなって思えた。計画性もなくただひたすら自由に
それに何となくこの作者って西野カナの曲好きなのかなって思えた 笑
勝手な憶測だけど、(爪がきれいとか、小さな変化にも気づいてあげなきゃいけないし)
ってセリフ読んで一番最初に頭に浮かんだのが西野カナの曲だった!
確かに常識的なことだけど、そのセリフをググって最初に出てくるのも(トリセツ)だし
ちなみにMeは西野カナ大好きです!
まあ、一言でいうといい話です。いい世界観だから読んでみてくださいかな? 笑
三ヶ月で限定とかふざけんな!って感じだね。 笑笑
お話は面白かった! めっちゃ笑ったし
なんていうかいい話だけどどこが良かったか聞かれると?てきな
ただ青春してるなって思えた。計画性もなくただひたすら自由に
それに何となくこの作者って西野カナの曲好きなのかなって思えた 笑
勝手な憶測だけど、(爪がきれいとか、小さな変化にも気づいてあげなきゃいけないし)
ってセリフ読んで一番最初に頭に浮かんだのが西野カナの曲だった!
確かに常識的なことだけど、そのセリフをググって最初に出てくるのも(トリセツ)だし
ちなみにMeは西野カナ大好きです!
まあ、一言でいうといい話です。いい世界観だから読んでみてくださいかな? 笑
2017年10月4日に日本でレビュー済み
面白かった。なんかどっしり構えたほうがよさそうな本だと勝手に思い込んでいたせいかちょっとだけ積んでしまった・・・
ところが実際の内容は全然そんなことはなく、けっこうライトでサクサク読めた。
個人的にはウェーイさんが刺さった。あんまりリア充属性なくて、エロマンガ先生でもあの委員長キャラをうざいと思ったぐらいなんだけどこの話は主人公がオタクになりきれないっていう視点があるせいかオタク勢以外のところにけっこう好感が持てた気がした。なんでだろ?
ただ、学園モノが好きな自分にとってはけっこう慣れたノリが多くて「この本だからこその面白さ」はそんなになかったと思う。学園ドラマとしてはよくある雰囲気。こういうのが読みたかったという期待には応えてくれるけど、これじゃなきゃダメだっていう要素は足りなかったかな。キャラそれぞれにお悩みがあるのはすごくよかった。こういう普通の学園もので、新キャラ増えるより既存キャラをもっと見たいっていう感想が出るのはやっぱり共感できるところがあるからなのかな。
ところが実際の内容は全然そんなことはなく、けっこうライトでサクサク読めた。
個人的にはウェーイさんが刺さった。あんまりリア充属性なくて、エロマンガ先生でもあの委員長キャラをうざいと思ったぐらいなんだけどこの話は主人公がオタクになりきれないっていう視点があるせいかオタク勢以外のところにけっこう好感が持てた気がした。なんでだろ?
ただ、学園モノが好きな自分にとってはけっこう慣れたノリが多くて「この本だからこその面白さ」はそんなになかったと思う。学園ドラマとしてはよくある雰囲気。こういうのが読みたかったという期待には応えてくれるけど、これじゃなきゃダメだっていう要素は足りなかったかな。キャラそれぞれにお悩みがあるのはすごくよかった。こういう普通の学園もので、新キャラ増えるより既存キャラをもっと見たいっていう感想が出るのはやっぱり共感できるところがあるからなのかな。
2021年9月23日に日本でレビュー済み
本作では、高校を過ごす中でのスクールカースト、もっと言えば集団による同調圧力、それによる息苦しさを主張していました。互いが互いを慮る故に顔色を伺い、嘘に嘘を重ね、自分の本心を偽って過ごす。確かに、リア充やオタクも集団であるが故に、本日は変わらないのかも知れませんね。最後には、リア充でもオタクでもない主人公が成せる解決方法で作品を占めていました。この点は評価します。
一方、問題なのが、キャラが掴めないことです。結局、各人物はどういう人なのか、表面上は語られど内面には深く踏み込められていません。どちらかと言えば、オタクの話がとても多く、限りなく主人公はオタク側の人間なのでしょう。即ち、タイトルにあるどちらにも属さない設定は概ね間違いだと思いました。ヒロインの口調も、どこか掴み用が無い感じもありました。
最終的には、過程を踏まえて結論を導けていたので、構成は悪くありません。筆者の主張も理解できます。ただ、キャラが掴めない点と、作中のアニメの話、突拍子もない展開によって、本作が何の作品だったのか、印象に残りませんでした。
一方、問題なのが、キャラが掴めないことです。結局、各人物はどういう人なのか、表面上は語られど内面には深く踏み込められていません。どちらかと言えば、オタクの話がとても多く、限りなく主人公はオタク側の人間なのでしょう。即ち、タイトルにあるどちらにも属さない設定は概ね間違いだと思いました。ヒロインの口調も、どこか掴み用が無い感じもありました。
最終的には、過程を踏まえて結論を導けていたので、構成は悪くありません。筆者の主張も理解できます。ただ、キャラが掴めない点と、作中のアニメの話、突拍子もない展開によって、本作が何の作品だったのか、印象に残りませんでした。