カルトなコンピレーションCDを見つけた。本盤のDiggerはドイツのDJ ・Marcel Dettmann。この「Selectors」シリーズはDJがテーマを決めレアものを押さえた選曲。
DJのコンピでもノンストップmixになってないのがいい。本盤のテーマはニューウェイブ/ポストパンク/インダストリアル/EBMなどの〝プレ・テクノ〟に焦点を当てている。
曲も音質も良いばかりでなく、その殆どは現在入手難なものが多いから嬉しい。まず名の知れているアーティスト4組から紹介。
(以下、●は2018年の段階においてCDでhard to getな曲。 ◎はこのコンピのためにMarcel DettmannがEdit。)
◆ Cabaret Voltaire「Low Cool (Marcel Dettmann Edit)」●◎
オリジナルよりスピード・アップさせたRemix。アルバム収録した『Plasticity』(92)はいまだCDリイシューなし。
◆ Ministry「Same Old Madness」
問答無用の名曲なのに未発表だったという。最近出ているBoxや12インチ集にも収められているがそれらの流通が無くなったら入手難になるおそれあり。
◆ Front 242「Dom’t Crash」
シングル「Politics Of Pressure」収録。2016年リイシュー『No Comment / Politics Of Pressure』に入っている。
◆ Fad Gadget「Back To Nature」
通常の5:50 versionを使っているみたい。
ここから下はどの曲もアーティストもよく知らないものばかり。だかそのどれもがクラシックとなりうる出来栄え。
◆ The Force Dimension「Algorythm (Manipulating Mix)」●
オランダのEBMバンド。これは12インチの曲。ちょっとディスコっぽさもあるノリやすいグルーヴ。
◆ Executive Slacks「So Mote It Be」
アメリカのインダストリアル・バンド。いま出回っているBox『The Complete Recordings 1982-1986』以外は本盤でしか聴けない。
◆ Martin Dupont「The Light Goes Through My Mouth」●
フランスのCold Waveバンド。3分過ぎて早めにフェイド・アウトして終わる。もっと長いVersionがありそうに聴こえるのだが…。
◆ A Thunder Orchestra「Diabolical Gesture (Marcel Dettmann Edit)」●◎
本盤の中で最もインダストリアル。でもリズムはわりとダンサブルで淡々としたパーカッシヴ音が特徴。Box『The Sound Of Belgium』に原曲を収録。
ここではテンポ・アップしたEditがなされている。
◆ Twice A Man「Happy Life」●
スウェーデンのエレクトロニクス・グループ。ミディアムに沈んだ繊細系シンセ・チューン。コード進行がGood。
◆ Kaa Antilope「Rise Up Helicopter, Like A Bird」●
これもベルギー出身? リリース数がとても少ないデュオ。風のSEとミニマルなバックトラック、あと歌だけなのにメロウ度高し。
◆ Clan Of Xymox「A Day」
この曲には9分のRemix Versionもあるがここではオリジナルを採っているようだ。
本盤の中では一番癖のない、85年に4ADから発表されたアップ・ナンバー。
Marcel Dettmannのライナーはセレクトに対する自分の思い入れ話が多く、各アーティストとその曲についての情報を中心に書いてほしかった。不満はそれだけ。
『Space, Energy & Light (Experimental Electronic And Acoustic Soundscapes 1961-88)』と肩を並べる素晴らしいコンピレーションだと思う。