上位の批判的レビュー
5つ星のうち3.0生産性について書かれた生産性の低い本
2016年11月28日に日本でレビュー済み
生産性がいかに大切かを説いた本
しかし、生産性の重要性の説明に本の半分を使うという非生産性を露呈(正直、4人の登場人物は1、2行の状況の説明で事足りる)。
この手の自己啓発及び生産性を高める本を読んできた方にとってはくど過ぎる内容。
時間の重要性を述べる箇所でも、使い古された「職場近くに住む」例。しかも1万の家賃上昇で20時間/月を確保などと非現実的。都心で30分/日の通勤時間の短縮をするには2LDKで家賃約10万増は見ておく必要があります。いくら時間が重要であることを分かっている人でも、東証一部上場の上位企業でない限り、非現実的です。1万の家賃上昇であれば、皆悩みませんよ。
生産性を上げる方法は、「投入する時間を制限すること」。
例えば、
・1日の総労働時間を制限する
・業務ごとの投入時間を制限する
・忙しくなる前に休暇予定を立てる
・余裕時間をたくさん確保しておく
・仕事以外の予定もスケジュールに記載しておく 等
↑ こんなのはもうやっているんだけど・・・と突っ込まざるを得ない。
そこで、
・「すべてをやる必要はない」と断言
・まず「やめる」
・「最後まで頑張る場所を厳選」
・時間の家計簿をつける
と提案。しかし、これは電通社員や霞が関の官僚に対しての答えにはなり得ない。
これはあくまで、「自分の仕事をコントロールできる職場環境」にいる人に対する処方箋でしかない。
例えば、「これをやりません」などと言える職場がどれほどあるか。
こういうことを言うと、そんな職場は辞めるべきだと言われるのだが、日本の職場のほとんどはこんな職場なのだ。
ちきりんが後半で述べている社会の非生産的な側面に誰もが頷くであろう。
しかし、それは1会社員が変えられるほど簡単ではない。
要は、今の日本では「こんな非生産的社会の中」で、いかに「生産的」に生きていくか、であって、ホリエモンやちきりんのような「悲惨的な社会そのもの」からオサラバした人とは、異なる視点で物を考えざるを得ないのだ。
この本は、その意味で、参考にはなるが解決策では決してない。