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猿の見る夢 単行本 – 2016/8/9
購入オプションとあわせ買い
自分はかなりのクラスに属する人間だ。
大手一流銀行の出身、出向先では常務の席も見えてきた。実家には二百坪のお屋敷があり、十年来の愛人もいる。
そんな俺の人生の歪(ひず)みは、社長のセクハラ問題と、あの女の出現から始まった――。
還暦、定年、老後――終わらない男”の姿を、現代社会を活写し続ける著者が衝撃的に描き切る!
週刊現代読者の圧倒的支持を得た人気連載が、ついに書籍化!
- 本の長さ458ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2016/8/9
- ISBN-104062202018
- ISBN-13978-4062202015
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
人間模様が鳥獣戯画のように見えてくる
「読んだ?」「読んだ、読んだ、バカだよね」「バカ、クズ。基本、上から目線だしさ」「ほんと、男ってああいうところあるよね。幾つになっても自分が女を選ぶ側だと思ってんの」
この本を読んだ女友達と会うなり、こんな調子ではじまった。私たちはしばらく物語の主人公である薄井という男の愚かさを指摘し、その転落ぶりを笑った。あたかも、この本にでてくる辛辣な女たちのように。
薄井は六十歳を手前にした元大手銀行員。現在は一部上場した企業に出向しており、ひとまわり下の愛人もいて、余裕のある暮らしぶりをしている。社内でのささやかな野心もあり、長男夫婦と都内に二世帯住宅をもうける計画をたてている。性的な自信もまだ維持している。薄井はほどほどに恵まれている。その恵みを一滴もこぼすことなく老後を迎えられると信じている。そこに長峰という夢で宣託をする女が現れ、会社と家庭の両方の雲行きが怪しくなっていく。
薄井ははっきり言って鼻につく男だ。小心者でコロコロと寝返るくせに、自分より弱い者の前では大きくでて、思い通りにいかないと腹をたてる。十年来の愛人に「女房は既得権があるから」などと言う。それに女たちが腹をたてる理由を理解できない鈍感さがあるのに、自分は賢いと思っている。その薄井の目論見が面白いように崩れていく。薄井の周りの女たちの容赦のなさも痛快だ。ページをめくるのが止まらなくなり、自分は他人の不幸が大好きなのだと気付かされる。
七つの章にはそれぞれ動物絡みの題名がついている。そのせいか、人間模様が鳥獣戯画のように見えてくる。猿が蛙を祀るがごとく、薄井の妻は長峰という怪しい夢占い師に傾倒し、薄井も巻き込まれていく。この長峰が不気味だ。なんでも夢で言い当て、他人の人生に侵食してくる。
読み終えた時、長峰は人の罪悪感を操っているのではないかと思った。でてくる登場人物はみんな少なからず後ろ暗いものを抱えている。その報いを恐れながら生きている。だから、長峰の言葉に惑わされる。
動物好きな私が唯一嫌いな生き物は猿だ。人間が理性で隠している欲や汚さが剥きだしになった獣のように見える。けれど、猿山を眺めていると目が離せなくなる。桐野夏生さんの小説を読むと、いつもこの感覚を思いだす。嫌だと感じるのは、自分の中に似たようなものを見出すからだ。
散々、薄井を罵った後に友人は言った。「でもさ、ここまで愚かだとなんか憎めないんだよね」その言葉にかすかに安堵した。
評者:千早 茜
(週刊文春 2016.10.03掲載)著者について
1951年金沢市生まれ。成蹊大学卒業。1993年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、1998年『OUT』で日本推理作家協会賞、1999年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、2004年『残虐記』で柴田錬三郎賞、2005年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、2008年『東京島』で谷崎潤一郎賞、2009年『女神記』で紫式部文学賞、2010年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞、2011年同作で読売文学賞を受賞。2015年、紫綬褒章を受章した。近著に』『奴隷小説』『抱く女』『バラカ』など。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2016/8/9)
- 発売日 : 2016/8/9
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 458ページ
- ISBN-10 : 4062202018
- ISBN-13 : 978-4062202015
- Amazon 売れ筋ランキング: - 424,679位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について

桐野 夏生(きりの・なつお)
1951年生まれ。93年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。98年『OUT』で日本推理作家協会賞(同作品は英訳され、日本人初のエ ドガー賞候補となる)、99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で 婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式部文学賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 メタボラ(上) (ISBN-13: 978-4022645548 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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軽妙なのだが、主人公の軽さというか猿ぶりが。
作者に、「多かれ、少なかれ、お前たちは猿だ」と言われているようなw
これも、桐野夏生に特有の救いがある小説と救いがない小説に二分すると、救いのない部類の小説だと思った。
まず犯罪がない。
男が主役。
ややユーモラス、とてもペーソスな
辛い物語。
そんな桐野作品は記憶にない。
定年間近になると
誰もが考える将来への不安。
男の読者なら、その辛さに
きっとどこかで共感するはず。
大手銀行員である薄井正明は
銀行エリートたちは決して出向しない
アパレル会社に出向、その取締役。
その会社、運良くヒット作を生み出し、上場。
そこで薄井はなんとか生き残りをと
願っている。
銀行の社宅に住み、
20年近くのつきあいの愛人を持ち、
独立した息子と生まれ育った実家の土地に
二世帯住宅を建てて、老後を過ごしたいと
考えている。
そんな一見、セレブな感じの日常に
問題が発生する。
会社の会長はその娘婿である社長が
引き起こしたセクハラ問題を
どう解決するか、薄井に相談する。
薄井には、会長に取り入る絶好のチャンス?
ところが会長室に出入りするうちに
会長秘書に恋心。
一方、認知症で入院していた
母親が亡くなって大騒ぎ。
母親の介護を
実家の土地に家を建てて住む妹夫婦に
任せっきりだったため
薄井夫婦と妹夫婦が冷戦状態に。
母親の遺書には、財産のすべてを
妹にとあって、薄井大慌て。
ここに妻が連れてきた占い師が登場。
信じて従う妻。
なんとしても信じない薄井。
出向と出向先、
定年後の就職あるいは生活、
親の介護、遺産相続、・・・
概ね日本の社会では55歳を超えると
一度にそれら諸問題が迫ってくる。
桐野はそれをあるときはユーモラスに
あるときはオーバーに、そして、あるときは
哀しい現実としてとらえ
提示してくれている。
これは変だという部分もある。
それ以上に、いま抱えている問題を
素直に見つめてみようと思わされた。
会社と愛人そして自宅。この三点から出ない世界で生きている男の話なの
だけどページをめくる手が止まりません。
桐野さん独特のリアリズム、つまり生々しさ満載の心理劇です。
ディテールが凄〜い!
薄井という男(臼井でも碓氷でもない薄いです、浅薄な男)を
心理的に丸裸にしていきます。
ラストで薄井は自分自身と邂逅します(私はそう解釈しました)
内館牧子氏の『終わった人』より終わってる人ですが
こういう人はある意味強かでしぶといものかもしれません。
感情の振り幅が大きいのに病気にも罹らない。
女性の登場人物も、またそれぞれの強かさを見せます。
男の欲望と女の執着が見事に描かれていました。
会長に見込まれての出向、また業績の急速な伸びもあり、薄井は順調な
日々を過ごしていた。
プライベートでは妻以外の女もいながら、会長秘書の美人にも色気を見せる
なかなかのやり手だ。
一方、認知症の母、母の面倒を見る妹夫婦との相続の問題、自らも60歳を
迎え定年後の生活も気になる。
いつまでもこの生活を続けることも出来ないと思いながら、今日と同じ明日の
暮らししか描けない、決断を先送りするオトコの夢と現実を描く。
タイトルは、この主人公のことなのね。
登場する人物それぞれに表と裏の顔があり、どちらが真実か定かでないまま
ストーリーが展開する。
それは主人公の揺れるこころと同じく、正しい進路は誰にも分らないのかも
しれない。
女性の描写に比べオトコの描き方が淡白でストレート過ぎるきらいがあって、
不快ともいえる落ち着かなさがあったのだが、読了後には微妙な余韻が残った。
人は誰も山の尾根を歩きながら、風に吹かれればどちらかに落ちる瀬戸際だと
いうことに気が付かずに暮らしているのかも知れないと、自らを振り返り反省
させられる一冊でもあった。
女性が読むと、オトコの情けなさ、可愛らしさが見えて来て、笑ってしまいそうになります。
桐野さんが愛おしいオトコを書いたとのコメントにうなづきました。
オトコってロマン。
正直に、いってやりましょう。
バッかじゃないの‼️
でも、面白い。