いわゆる学術書であり「so what?」と言いたくなる部分はあるが、本書には実務に従事する者にとってもいくつか興味深い点もある。たとえば、もともとアメリカで研究されてきた心理的契約が、実は日本的な現象だという指摘だ。アメリカは「契約社会」だが日本はそうでない、という議論をよく耳にするが、そもそも「契約社会」という言葉自体が、「契約」を文面化されたものに限定してとらえる契約観に縛られた言葉なのだ。心理的契約の考え方によれば、他人との口頭での約束や、口にすら出されることのない暗黙の了解など、私たちの日常は様々な「契約」であふれている。
ところが日本のように多くの約束が文章化されない社会では、自分たちがさまざまな約束をさまざな人々と取り交わしていることに気付かないままでいることが多い。裏切られて初めて気づくところに、心理的契約の怖さがある。だからこそ、筆者が言うように「日本において心理的契約に注目する意義が大きい」といえよう。
ここら辺の議論は、とても納得のいくものだ。
この本で示されている手法を参考に、様々な企業で社員と会社の心理的契約を明らかにする試みが開始されることを願いたいものだ。
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日本企業の心理的契約: 組織と従業員の見えざる約束 単行本 – 2011/5/1
服部 泰宏
(著)
- 本の長さ223ページ
- 言語日本語
- 出版社白桃書房
- 発売日2011/5/1
- ISBN-104561265597
- ISBN-13978-4561265597
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登録情報
- 出版社 : 白桃書房 (2011/5/1)
- 発売日 : 2011/5/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 223ページ
- ISBN-10 : 4561265597
- ISBN-13 : 978-4561265597
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,380,051位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 77,047位投資・金融・会社経営 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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日本の経営学者。
神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了。滋賀大学准教授,横浜国立大学准教授を経て、現在、神戸大学教授。「日本企業における組織と個人の関係性」をコアテーマに、人材の採用の研究や評価の研究、研究者と実践家との関係性に関わる研究に従事。2010年に第26回組織学会高宮賞論文部門, 2014年に人材育成学会論文賞, 2016年に日本の人事部「HRアワード」書籍部門最優秀賞, 2019年に 日本の人事部「HRアワード」書籍部門入賞,2020年に労務学会賞(学術賞)および労務学会賞(奨励賞),2022年に組織学会高宮賞著書部門を受賞。
神奈川県生まれ。
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