太宰、芥川、川端も絶賛したという豊島与志雄を、すぐれた企画本を著してきた長山靖生が編集。「初期の作品から戦後のものまで」網羅した短編集です。
この作家は、外国文学の翻訳の方が売れて、自作の小説はその陰に埋もれていたとのこと。では本書で紹介された小説を見てみると、自意識の妖怪というか、余りにも神経症的で驚かされます。
急速に都会化した東京で、疎外される生活者や学生の病んだ精神を的確に掬い取る「蠱惑」「悪夢」「都会の幽気」。
死と隣り合わせの男女の恋を、陽光輝く中に描いて逆に鬼気迫る、表題作の「丘の上」。「常識」「食欲」も、男女の三角関係を、息詰まる病的な筆致で描いています。
後半の「碑文」「白塔の歌」は戦前戦中の大陸を舞台にした作品で、前半の作品にみられた過剰な自意識は影を潜め、異国情緒豊かな小説世界が展開されています。
他に、「沼のほとり」は、兵役に就いた息子に会いに行く母の、幻想的な邂逅を描いたもので、新潮文庫の「日本文学百年の名作」第4巻にも収録されました。
「メランコリー」(憂鬱)と銘打つだけあって明朗な小説はありません。が、男女の複雑な心理を丹念につづった小説世界は妖しい魅力に満ちています。長山靖生の言う通り「本物の大人のための小説家」ですね。
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丘の上 豊島与志雄 メランコリー幻想集 単行本 – 2018/2/22
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太宰が最も尊敬し、芥川、川端が恐れた作家
豊島与志雄の全貌が明らかになる代表作が
現代仮名遣いによって甦る!
芥川龍之介に
「山間の湖の如く静かなのは、豊島与志雄氏の作品である」
と言われた豊島は、「忘れられた作家」と呼ぶには
あまりにも大きな存在である。
太宰治、坂口安吾、田中英光らは豊島を深く尊敬した。
太宰は「先生も、私と同様に、だらしがない。
そうして、日本で、いちばんの教養人だ」と評し、
川端康成は、「終始孤高の高士であるが、
そのひとりの世界では魔につかれて、
なにをしているかわからぬ怪物である」と言った。
本書では、初期の作品から戦後のものまで収録しているが、
どの時期の作品も、深いメランコリーの影が射している。
そして終始一貫して理知的であった。
怜悧さ故の虚無感に包まれながら完璧への希望をも
持ち続けた隠れた名作をお届けします。
豊島与志雄の全貌が明らかになる代表作が
現代仮名遣いによって甦る!
芥川龍之介に
「山間の湖の如く静かなのは、豊島与志雄氏の作品である」
と言われた豊島は、「忘れられた作家」と呼ぶには
あまりにも大きな存在である。
太宰治、坂口安吾、田中英光らは豊島を深く尊敬した。
太宰は「先生も、私と同様に、だらしがない。
そうして、日本で、いちばんの教養人だ」と評し、
川端康成は、「終始孤高の高士であるが、
そのひとりの世界では魔につかれて、
なにをしているかわからぬ怪物である」と言った。
本書では、初期の作品から戦後のものまで収録しているが、
どの時期の作品も、深いメランコリーの影が射している。
そして終始一貫して理知的であった。
怜悧さ故の虚無感に包まれながら完璧への希望をも
持ち続けた隠れた名作をお届けします。
- 本の長さ320ページ
- 言語日本語
- 出版社彩流社
- 発売日2018/2/22
- ISBN-104779124417
- ISBN-13978-4779124419
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商品の説明
著者について
とよしま・よしお
1890(明治23年)~1955(昭和30年)。
日本の小説家、翻訳家、仏文学者。
久米正雄、菊池寛、芥川龍之介らとともに
第三次「新思潮」の同人として世に出る。
代表作に、
短編小説集『生あらば』(1917年)、
中編小説『野ざらし』(1923年)、
随筆集『書かれざる作品』(1933年)、
長編小説『白い朝』(1938年)、
短編小説集『山吹の花』(1954年)など。
当時ベストセラーになった『レ・ミゼラブル』の翻訳で知られる。
太宰治の葬儀の際には、葬儀委員長を務めた。
ながやま・やすお
評論家。1962年茨城県生まれ。
鶴見大学歯学部卒業。歯学博士。
文芸評論から思想史、若者論、家族論など幅広く執筆。
1996年『偽史冒険世界』(筑摩書房)で大衆文学研究賞、
2010年『日本SF精神史』(河出書房新社)で日本SF大賞、
星雲賞を受賞。
ほかの著書に『鴎外のオカルト漱石の科学』(新潮社)、
『「吾輩は猫である」の謎』(文春新書)、
『日露戦争』(新潮新書)、『千里眼事件』(平凡社新書)、
『奇異譚とユートピア』(中央公論新社)など多数。
『羽ばたき 堀辰雄初期ファンタジー傑作集』
『詩人小説精華集』(ともに彩流社)の編集にも携わる。
1890(明治23年)~1955(昭和30年)。
日本の小説家、翻訳家、仏文学者。
久米正雄、菊池寛、芥川龍之介らとともに
第三次「新思潮」の同人として世に出る。
代表作に、
短編小説集『生あらば』(1917年)、
中編小説『野ざらし』(1923年)、
随筆集『書かれざる作品』(1933年)、
長編小説『白い朝』(1938年)、
短編小説集『山吹の花』(1954年)など。
当時ベストセラーになった『レ・ミゼラブル』の翻訳で知られる。
太宰治の葬儀の際には、葬儀委員長を務めた。
ながやま・やすお
評論家。1962年茨城県生まれ。
鶴見大学歯学部卒業。歯学博士。
文芸評論から思想史、若者論、家族論など幅広く執筆。
1996年『偽史冒険世界』(筑摩書房)で大衆文学研究賞、
2010年『日本SF精神史』(河出書房新社)で日本SF大賞、
星雲賞を受賞。
ほかの著書に『鴎外のオカルト漱石の科学』(新潮社)、
『「吾輩は猫である」の謎』(文春新書)、
『日露戦争』(新潮新書)、『千里眼事件』(平凡社新書)、
『奇異譚とユートピア』(中央公論新社)など多数。
『羽ばたき 堀辰雄初期ファンタジー傑作集』
『詩人小説精華集』(ともに彩流社)の編集にも携わる。
登録情報
- 出版社 : 彩流社 (2018/2/22)
- 発売日 : 2018/2/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 320ページ
- ISBN-10 : 4779124417
- ISBN-13 : 978-4779124419
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,003,355位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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