北朝鮮について何か考えたり発言したりするなら、必読の書だと思う。
人類学の研究書なので、事実に対する評価というよりも、事実を多面的・多層的に示し、著者(調査者)自身もその事実に刺激され圧倒されていることが読み取れる。
社会主義国家の要である配給が滞るようになるのは1970~80年代、90年代後半にはソ連崩壊と水害などが重なり配給がほぼゼロになる。これによってそれまで認められてこなかった非公式の分野がなし崩し的に開放されていく。
商売や所有が認められ市場が機能するようになる。商売が恥ずかしくてできなかったり、闇商品を買わなかったり、盗みをしなかったりした高潔な知識人が死んでいく。全く経験のない商売に果敢に挑戦していったのは女性たちだった。
生き残りゲームが、ゲームではなく現実になった世界。恥も外聞も道徳も倫理も捨てて生きようとする者が生き残る。「盗み」が大きなカギを握る文化として定着し広がっていく。生きるための盗みの現実はすさまじく悲しい。この悲惨な現実が生き生きと描かれている第11章「盗みの社会的含意」がこの本の真骨頂である。
この本を読み終わって、北朝鮮社会の特殊性ではなく、人間社会の普遍性、人間の言動の普遍性を強烈につきつけられた気がする。究極の環境に置かれた人間がどのように行動するのか、そこには底なしの悲惨と共に希望や感動もある。
あの国には激しい喜怒哀楽をあらわす生身の人間が普通に生きているのだという当たり前の事実をしっかりと感じることができた。あの国に対する見方がさらに変わった気がする。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
新品:
¥5,500¥5,500 税込
ポイント: 330pt
(6%)
無料お届け日:
4月9日 - 14日
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
新品:
¥5,500¥5,500 税込
ポイント: 330pt
(6%)
無料お届け日:
4月9日 - 14日
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
中古品: ¥4,700
中古品:
¥4,700

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
北朝鮮人民の生活--脱北者の手記から読み解く実相 単行本 – 2017/5/12
伊藤亜人
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥5,500","priceAmount":5500.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"5,500","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"0HdqW%2FZS1yym3tjD2JH%2FQBAG4PLnpIARw4Yyj%2B7FmrqWOrT30qs3mlyP%2BECYGNto9uE%2BRQz7FdEXG%2FsvsnQk13Rdg6qCnLPjc5PLqBQURi0Mg1SUO3Go2TGMnj%2FGrxqevxTMxmALxQk%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥4,700","priceAmount":4700.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"4,700","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"0HdqW%2FZS1yym3tjD2JH%2FQBAG4PLnpIARjay0aDjk%2BPDEXVdx9lae48JJkX9ivgBekKEx%2BNW3RhnxK2xpSKnzPSblgsrcLF2OuniAg004UYJ4bMfg5g7SRgvM8luHOoM9OdSDk1HwO06YFHd9xIzkGmGDeluUQSH5WyXoZTQUlF73dhnsb3DP4w%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
ニュースには現れない北朝鮮の「見えない人びと」はいったいどのように暮らしているか。
その疑問に果敢に挑んだのが50年近く韓国研究に打ち込む文化人類学者。
フィールドワークが出来ない北朝鮮で人類学的研究をするために取った方法は、脱北者に自らの「北」での経験を綴らせた手記をフィールドノートの代わりにすること。その数は450編に及んだ。
国際政治で話題に上がる割に内部の状況が分からない北朝鮮社会は、社会主義公式体制を維持するために膨大な非公式経済によって支えられている実態を確かな情報に基づいて解明する。
その疑問に果敢に挑んだのが50年近く韓国研究に打ち込む文化人類学者。
フィールドワークが出来ない北朝鮮で人類学的研究をするために取った方法は、脱北者に自らの「北」での経験を綴らせた手記をフィールドノートの代わりにすること。その数は450編に及んだ。
国際政治で話題に上がる割に内部の状況が分からない北朝鮮社会は、社会主義公式体制を維持するために膨大な非公式経済によって支えられている実態を確かな情報に基づいて解明する。
- 本の長さ480ページ
- 言語日本語
- 出版社弘文堂
- 発売日2017/5/12
- 寸法21.4 x 15.4 x 3.2 cm
- ISBN-104335561369
- ISBN-13978-4335561368
よく一緒に購入されている商品

対象商品: 北朝鮮人民の生活--脱北者の手記から読み解く実相
¥5,500¥5,500
通常8~14日以内に発送します。
¥2,640¥2,640
最短で4月1日 月曜日のお届け予定です
残り3点(入荷予定あり)
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 弘文堂 (2017/5/12)
- 発売日 : 2017/5/12
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 480ページ
- ISBN-10 : 4335561369
- ISBN-13 : 978-4335561368
- 寸法 : 21.4 x 15.4 x 3.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 210,176位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,078位文化人類学・民俗学 (本)
- - 10,432位投資・金融・会社経営 (本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中5つ
5つのうち5つ
4グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2017年10月15日に日本でレビュー済み
著者は文化人類学者で、東大名誉教授。元々韓国の珍島などの研究で有名だが、現在は脱北者の手記を活用した北朝鮮社会における民衆の生活実態について研究している。
本書は、過去3年間にわたって手記の書き方の指導から始めて収集した450篇近くの脱北者の手記から、99篇の手記を収録している。脱北者は概ね年長者が多く、主に咸鏡北道出身者が多いという。
内容は、全12章で、住民と社会統合(成分や障碍者の扱い方)、社会主義化、組織生活(家庭、党、社会主義労働青年同盟)、少年団、女性同盟、人民班)、産業政策、共同農場、食料や住宅の供給体制と収買事業、自力更生と副業、私用耕作地、市場(チャンマダン)、タノモシ(頼母子)、盗みについての11章と、終章として北朝鮮社会の特異性と普遍性を簡単にまとめている。
脱北者の手記というと、個人の手記は色々なものがあるが、民衆生活を焦点としてこれだけの量を集めたものは日本語ではなかなかないのではと思う。複数人を対象にした調査だと、Haggard and NolandのWitness to Transformationが有名だが、同書が脱北者に対するサーベイという定量調査を行ったのに対し、本書は個別の手記という定性的な記述で実態を明らかにしようとした点で注目される。
イデオロギー色は特になく、手記が冷静にまとめられている点も好印象。
個人的には、自力更生と副業、市場、日本語に由来するタノモシあたりの章が、何としてでも生き残ろうとする北朝鮮住民の生の生活をよく伝えていてとても興味深かった。
本書は、過去3年間にわたって手記の書き方の指導から始めて収集した450篇近くの脱北者の手記から、99篇の手記を収録している。脱北者は概ね年長者が多く、主に咸鏡北道出身者が多いという。
内容は、全12章で、住民と社会統合(成分や障碍者の扱い方)、社会主義化、組織生活(家庭、党、社会主義労働青年同盟)、少年団、女性同盟、人民班)、産業政策、共同農場、食料や住宅の供給体制と収買事業、自力更生と副業、私用耕作地、市場(チャンマダン)、タノモシ(頼母子)、盗みについての11章と、終章として北朝鮮社会の特異性と普遍性を簡単にまとめている。
脱北者の手記というと、個人の手記は色々なものがあるが、民衆生活を焦点としてこれだけの量を集めたものは日本語ではなかなかないのではと思う。複数人を対象にした調査だと、Haggard and NolandのWitness to Transformationが有名だが、同書が脱北者に対するサーベイという定量調査を行ったのに対し、本書は個別の手記という定性的な記述で実態を明らかにしようとした点で注目される。
イデオロギー色は特になく、手記が冷静にまとめられている点も好印象。
個人的には、自力更生と副業、市場、日本語に由来するタノモシあたりの章が、何としてでも生き残ろうとする北朝鮮住民の生の生活をよく伝えていてとても興味深かった。