面白かった!
奇跡と死とセックスと熱狂と鎮魂の酷く華やかな夢のような物語だった。
聖母の奇跡にちなんだ名を与えられた私生児らしき兄妹がいる。
母はイエズス会の掃除婦と売春婦を掛け持ちしているゴージャスな美女だ。
妹は人や動物の心を読み将来を予知する能力を持っているがその言葉は兄にしかわからない。
主人公はゴミ焼き場から救い出した焼け残りの本から独学で学んできた明敏な兄。
アメリカから厭戦のヒッピーが流れ込んで来るような70年代メキシコでの子供時代のエピソードと、
作家として成功してからの夢と現の混じり合ったような幻想的なフィリピンへの旅行の体験が、
同時進行で紡がれていく。
妹は、褐色の肌をした聖母こそが自分の為の聖母であるのにその我が聖母は肌の白い聖母達に侮辱されていると感じている。
白い聖母達はスペイン人征服者の持ち込んだまやかしだという怒りを抱いている。
作家を巡る聖母だらけの物語だ。
褐色の聖母、白い聖母達、妹の愛している地母神、売春婦の母、旅先で出会う性的魅力に溢れた中年女性と奔放なその娘、メキシコの土産物屋の聖母人形達、主治医の女医、旅先で出会う女医、、
そして誰よりも超能力者の妹こそが兄の為に全てを投げ出す母なるものでもあった。聖母か地母神か。
昔、詩人がサーカス団と砂漠を放浪する洋酒のCMがあったが、
サーカス団の場面はそのように詩的でもありまたバックステージとして非常に猥雑な魅力にも溢れていた。
タイトルの『神秘大通り』とは観光地でもあるメキシコの寺院への実在する参道の名らしいのだが、
奇跡や神秘の夢幻的に飛び交う様子も連想させて、さりげないようだが翻訳者の何という秀逸な選択かと思った。
大航海時代の侵略の翳を今も色濃く残している、聖母の奇跡の顕現が通底しているような見知らぬ世界を我が事としてリアリティをもって現前させる翻訳家の仕事というものに敬意を抱かずにいられない思いだ。
エンタテインメントの興奮と共にみっしりと充実した読後感が残った。
金箔押しまで施された表紙カバーも大変に美しい。
マグリットを思わせるような白い雲は聖母の足元の天使を隠した雲でもあったろうか。
寓意的にも見える描かれた動物達は全て物語の中で重要な役を果たしている。
上下巻を左右に並べてみても繋がっている赤と白の輪にさえ謎解きの楽しみがあった。
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神秘大通り (上) 単行本 – 2017/7/31
ジョン・アーヴィング
(著),
小竹 由美子
(翻訳)
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人生は衝突コース――道連れは、怪しく美しい美人母娘。メキシコのゴミ捨て場育ちの作家の過去への旅。巨匠アーヴィング、最新長篇!
- 本の長さ406ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2017/7/31
- ISBN-104105191179
- ISBN-13978-4105191177
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美しい図書館司書に恋をした少年は、ハンサムで冷酷なレスリング選手にも惹かれていた──。ある多情な作家の、半世紀にわたる性の記憶。切なくあたたかな傑作長篇。 | メキシコのゴミ捨て場育ちの作家が、古い約束を果たすため、NYからマニラへと旅に出る。道連れは、怪しく美しい謎の母娘。 25 年越しの大長篇、ついに完成! |
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2017/7/31)
- 発売日 : 2017/7/31
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 406ページ
- ISBN-10 : 4105191179
- ISBN-13 : 978-4105191177
- Amazon 売れ筋ランキング: - 599,662位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2018年1月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
全ての作品を読んでいて、『オーエンのために祈りを』からは
オンタイムで新刊が出る度に初版本で購入していて好きな作家
の1人です。
なのでこの作品が個人的な合わななかっただけのという評価
です。
全ての作品に当てはまる訳では無いのですが、主人公の一生を
描く「大河ドラマ的な小説」として好きなのですが、今回は幼
年期を夢と絡ませて意図的に時間系列を交互に書かれていて、
入り込めない。
訳者があとがきで、あえてアメリカでの青年期を省力している
と書いていたけれど、エドワードとフロールとのアメリカでの
生活で作家へ向かう成長物語をもっと描いて欲しかった。
あと、
フワン・ディエゴ
ダンプ・リーダー
エドワード・ボンジョー
セニョール・エドゥアルド
アイオワン
オウム男
ダンプ・ボス
エル・ヘフェ
リベラ
他にも色々な登場人物を1つの段落の中ですら言い換える
目的を読み取れなかったです。
誰か教えて下さい。
オンタイムで新刊が出る度に初版本で購入していて好きな作家
の1人です。
なのでこの作品が個人的な合わななかっただけのという評価
です。
全ての作品に当てはまる訳では無いのですが、主人公の一生を
描く「大河ドラマ的な小説」として好きなのですが、今回は幼
年期を夢と絡ませて意図的に時間系列を交互に書かれていて、
入り込めない。
訳者があとがきで、あえてアメリカでの青年期を省力している
と書いていたけれど、エドワードとフロールとのアメリカでの
生活で作家へ向かう成長物語をもっと描いて欲しかった。
あと、
フワン・ディエゴ
ダンプ・リーダー
エドワード・ボンジョー
セニョール・エドゥアルド
アイオワン
オウム男
ダンプ・ボス
エル・ヘフェ
リベラ
他にも色々な登場人物を1つの段落の中ですら言い換える
目的を読み取れなかったです。
誰か教えて下さい。
2017年10月6日に日本でレビュー済み
アーヴィング何年ぶりだろうか。いや何十年ぶりかもしれない。堪能した。彼ならではの世界のつかみ方に一度魅了されると離れられなくなる、その体感を思い出した。昔読んだなあ……という方ぜひ手に取って見られると良いと思う。
2017年10月19日に日本でレビュー済み
非健常者、マッチョなセックス、中絶問題、などなど、定番のアービング的な背景を散りばめたロードノベルながら、全盛時の筆力にはいかんともしがたく及んでいない。サイダーハウス・ルールあたりから、饒舌間が増していった筆者だが、自身が手がけた同作の映画の脚本のように凝縮した形は望めないものだろうか。相変わらず読ませるが、手口が同じ手品を見ているようで、全作読んでいる読者からすると、残念ながら新鮮味が非常に薄い。それでも、標準以上に面白い小説ではあるのだが、星が非常に少ないのは、翻訳に難があると感じたから。この訳者になってからのアービングの翻訳にはクビを傾げることが多い。それまでは、名訳ばかりであったのに残念。翻訳除けば、星3つです。アービングは、比較的原書でも読みやすいので、英語の勉強がてら秋の夜長に挑戦してみるのもいいかもしれない。