中国史が好きな自分には非常に面白く刺激的な本だった。とは言っても歴史本ではない。
今の中国は、いわゆる毛沢東王朝ではあるけれど、その国の成り立ちにおいて、大躍進政策やら文化大革命やらで国がズタボロになったところからはじまった。
そのズタボロの状態から今の中国の経済的な大成長を支えているのは13億の「個人」。本書は有名無名問わず、そのズタボロの中から今の成長に至る過程の中国の「個人」にフォーカスを当てている。
中国というと、共産党の一党独裁による「検閲」とか「自由がない」とか「チベット問題・台湾問題」などなど、一応西側にいる日本にしてみたら政治的に「よくない」と見える面はもちろんある。
でもそれは中国という国家の価値観であるから我々の価値観と相容れないだけであってどうこういう話ではないのだけれど、その中にいる国民は我々と同じく自由意志をもち喜怒哀楽があり、普通の欲望や欲求がある「人間」。
国による制限や体制の中で、自分自信の思いを抱えながらどう生きるか、どう生きているかが、普段我々からは見えない面であり、本書はそれを伝えてくれる。
大きく「富」「真実」「心のよろどころ」の3章に分かれているが、
富:ズタボロの中国から経済的に成功した人の生き様。(もしかしたら日本の戦後の高度成長期に感覚は似ているのかもしれない)
真実:国の情報統制がありながらも真実を求める人々の戦いと思い。
心のよりどころ:元来儒教や孔子の国であった中国(正確には国はたくさん変わっているが)がやはりズタボロ期に人への信頼や信仰を失った後、なにを心のよりどころとして今の時代を生きているか。
こうしたテーマを実在の人々の話を元に紡いでいる。
しかも登場人物も、台湾から中国に亡命したエコノミストの林毅夫や、農村出身からマッチングサイトで成功した人、有名な反体制の芸術家の艾未未などなど、バリエーションもすごい。
マクロで中国史を捉えるだけでは足りない「そこに生きてる個人」のリアルが伝わってとてもよかった。
そして・・・こりゃ中国強くなるわと改めて思った。
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ネオ・チャイナ:富、真実、心のよりどころを求める13億人の野望 単行本 – 2015/7/28
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貧困と政治の軛から解き放たれ、人びとはカネと表現の自由と精神的支柱を求めはじめた。一党独裁と人民との相剋を描いた傑作ルポ。
- 本の長さ470ページ
- 言語日本語
- 出版社白水社
- 発売日2015/7/28
- ISBN-104560084513
- ISBN-13978-4560084519
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商品の説明
出版社からのコメント
「官」と「民」の凄まじいせめぎ合いを描いた全米図書賞受賞作!
本書は、現代中国を「人びとの野望と独裁体制とがぶつかり合う戦場」と位置づけ、大変革の波に翻弄されながらもしたたかに生きる人びとや、戦う姿勢を崩さない人権活動家、若き愛国主義者たちの姿を通して「生身」の中国の本質に迫ったルポである。
一九七九年に金門島から大陸側に泳いで渡り、のちに中国を代表するエコノミストとなった林毅夫。スクープを連発し政府批判も厭わない『財経』元編集長・胡舒立。自身が作成した愛国主義的な動画がたいへんな人気を博した唐傑。若者の圧倒的な人気を集め、一躍時代の寵児となった作家の韓寒。そして、当局から「好ましからざる人物」と見なされる艾未未や劉暁波、陳光誠――本書には有名無名を問わず、挫折に屈することなく「夢」を追い続ける魅力的な人物が数多く登場する。
人びとの希求するものを富(カネ、豊かさ)、真実(知る権利、表現の自由)、心のよりどころ(信仰、伝統の復活)とし、国家をも揺るがしかねない深刻な社会問題からくすりと笑えるエピソードまで、一つひとつのストーリーを個人と国家の相克として鮮明に描き出した傑作ノンフィクション! ピュリツァー賞最終候補作。
本書は、現代中国を「人びとの野望と独裁体制とがぶつかり合う戦場」と位置づけ、大変革の波に翻弄されながらもしたたかに生きる人びとや、戦う姿勢を崩さない人権活動家、若き愛国主義者たちの姿を通して「生身」の中国の本質に迫ったルポである。
一九七九年に金門島から大陸側に泳いで渡り、のちに中国を代表するエコノミストとなった林毅夫。スクープを連発し政府批判も厭わない『財経』元編集長・胡舒立。自身が作成した愛国主義的な動画がたいへんな人気を博した唐傑。若者の圧倒的な人気を集め、一躍時代の寵児となった作家の韓寒。そして、当局から「好ましからざる人物」と見なされる艾未未や劉暁波、陳光誠――本書には有名無名を問わず、挫折に屈することなく「夢」を追い続ける魅力的な人物が数多く登場する。
人びとの希求するものを富(カネ、豊かさ)、真実(知る権利、表現の自由)、心のよりどころ(信仰、伝統の復活)とし、国家をも揺るがしかねない深刻な社会問題からくすりと笑えるエピソードまで、一つひとつのストーリーを個人と国家の相克として鮮明に描き出した傑作ノンフィクション! ピュリツァー賞最終候補作。
著者について
1976年ロンドン生まれ。『シカゴ・トリビューン』の記者・特派員として9.11同時多発テロやイラク戦争を取材したのち、2005~2013年にかけて同紙および雑誌『ニューヨーカー』の中国特派員を務めた。現在は米国ワシントンD.C.を拠点として『ニューヨーカー』のスタッフ・ライターとして優れたレポートを発信し続ける傍ら、ブルッキングス研究所のフェローも務めている。処女作である本書は全米図書賞(2014年)を受賞したほか、ピュリツァー賞(一般ノンフィクション部門、2015年)の最終候補作となった。
登録情報
- 出版社 : 白水社 (2015/7/28)
- 発売日 : 2015/7/28
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 470ページ
- ISBN-10 : 4560084513
- ISBN-13 : 978-4560084519
- Amazon 売れ筋ランキング: - 271,897位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,854位外交・国際関係 (本)
- カスタマーレビュー:
-
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上位レビュー、対象国: 日本
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2021年3月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年9月25日に日本でレビュー済み
現代中国の意欲的活動家と政府当局のしがらみ
「対日戦争勝利70年式典」で中国人民解放軍の威容を世界に十分見せ付けたと自負している
中国共産党。振り返って見ると、日本がポツダム宣言を受諾した1945年までに戦っていたのは蒋
介石の国民政府軍とこれを支援したアメリカ軍だった。
1949年に毛沢東は中華人民共和国の設立を宣言、1971年にこれを一つの中国として国連が
認定、そしてアメリカがこれを認定するのは実に毛沢東が1976年に死去した後の1978年であった。
以後国内では文化大革命とか天安門広場事件とかを経て、鄧小平の改革解放路線に乗って21
世紀に入ると驚異の経済成長を遂げて世界第二の経済大国にのし上がる。この国家(中国共産
党)主導資本主義は多くの矛盾を孕みながらも、国際社会に大きな影響力を持つようになった。
著者は1976年、ロンドン生まれ。ハーヴァード大学在学中に北京に留学。2005年から13年まで、
雑誌ニューヨーカーの中国特派員を務めた。この間に接触した中国の意欲的な活動家の行状を
個別に綴ったのが、本書である。この中には獄中でノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏もいるが、
中国政府は未だに受賞自体を認めていない。この中国共産党独裁国家の言論(報道)統制ならび
に反体制を扇動する行為の統制は徹底している。前者を取り仕切るのは共産党宣伝部で一説に
は国民100人に一人の割合だという(おそらく協力者を含めて)。後者は共産党公安部で反体制の
疑義ありとされる人物は、理由は何であれ拘束され何処かへ連れ去られる。いわゆる当局と言わ
れる恐ろしい存在だ。
当局の厳しい目を掻い潜って、意欲的な活動で成功を収めた人達が紹介される。
・貧農の次女に生まれた女子が、当時の婚姻が非常に限られた選択肢のもとで、なかば運命的
出会いで行なわれていたのに着目し、インターネットで「斡旋サイト」を立ち上げて大成功。
・党内のスキャンダルをスクープした高級専門誌を発行して大成功した女性ジャーナリスト、当局
の介入を阻止する一線を心得ていたらしい。
・2008年の北京オリンピックでの聖火リレー妨害運動(直前にチベットで起きた反政府暴動の鎮
圧において、中国政府に対する世界的抗議運動が起こった一環)に世界各国の中国人が愛国
心を発揮した。その有様を動画編成して、ブログにアップした学生が一躍国民的英雄に。この
ケースは当局が大絶賛。
しかし当局からの指弾覚悟の上で、政府に抗議する活動家も紹介される。
・オリンピックの直前に四川省を襲った大地震への政府(中央も地方も)の対応が、被害者無視
の酷い状況に抗議した芸術家・建築家。死亡した被害者の氏名を自ら2年かけて調査し、その
保障を政府に求めた。当局は本人を拘留したり、長年にわたって芸術家としての活動を妨害し
続ける。
・なんと言っても酷いのはノーベル平和賞受賞者の劉暁波氏だ。氏は1989年の天安門広場事件
で、民主化・言論の自由を謳った憲章77を草案し、インターネット経由で世界に問うた。これが
当局の逆鱗に触れたのだ。わずか14分の裁判で投獄、以来自宅軟禁を強いられて、未だに外
界と途絶。中国政府はこの授賞にたいして、ノーベル財団を非難している。
・もうひとつは、盲目の弁護士陳光誠氏の話だ。発端は中国の一人っ子政策の矛盾を指摘したこ
とらしいが、中国の人権問題として、インターネットを通じて海外に解決を求めた点だ。当局は国
内で解決すべき問題を何故海外に求めたのかと、本人を拘束・軟禁状態にしたが、たまたまアメ
リカの弁護士と連絡がとれ、政治問題に発展したが、現在アメリカに亡命中だ。
他にも事例があるが、きりがないので次に進める。
温州で起きた高速列車の衝突事件は未だあのTV画面(列車を土中に埋める)を想起してしまう異
常なものだった。温家宝総理はこの現場を視察し、原因を徹底的に追究すると決意をした。結果、
大利権に群がる大規模な汚職が発覚し、責任者劉志軍鉄道部長は失脚、長大な高速鉄道計画も
大幅に縮小された。この種の事態は現在の中国の体質的なもので誰が当たっても避けられないら
しい。ある中国経済学者はいう。この汚職体質の本質は中国共産党があまりにも多くの資源・資産
を一手に掌握していることから来るのだと。
こう言った利権がらみで私服を肥やすグループと一般市民の所得格差は開くばかりで社会不安
の増大を招いている。気功を活動の主体とする宗教団体「法輪功」の急成長に政府は不安を感じ
てこれをカルト集団として禁止した。そのかわり伝統の儒教促進と称して、海外も含め「孔子学院」
の設立に力を入れているが、良き昔の道徳は失われたままのようだ。しかし信仰に頼る人口は増
大しつつある。現在、中国で公認されている宗教は、道教、仏教、イスラム教、カトリック、プロテス
タントの五つで、信者は国が管理する施設で礼拝を行なうことが可能だ。
著者は9年間の中国滞在中に多くの、話題になった中国人を取材したが、いよいよ任期を終了す
る際にこの国のリーダーが交代した。
胡錦濤氏(前):「われわれは西側の政治体制を模倣することはしない。」
習近平氏(新):「近年における中国人民の最大の夢は、中華民族の偉大な復興を実現することだ。」
新しい7人の政治局常務委員(チャイナ セブン)とともに、この独裁国家は進んで行く。
己に都合の悪いことは一切無視だから、彼等は滅多なことではへこたれないような気がする。
ご注意:この本は上下二段組で450ページもあるので、読み通すのに結構根気が必要だ。
「対日戦争勝利70年式典」で中国人民解放軍の威容を世界に十分見せ付けたと自負している
中国共産党。振り返って見ると、日本がポツダム宣言を受諾した1945年までに戦っていたのは蒋
介石の国民政府軍とこれを支援したアメリカ軍だった。
1949年に毛沢東は中華人民共和国の設立を宣言、1971年にこれを一つの中国として国連が
認定、そしてアメリカがこれを認定するのは実に毛沢東が1976年に死去した後の1978年であった。
以後国内では文化大革命とか天安門広場事件とかを経て、鄧小平の改革解放路線に乗って21
世紀に入ると驚異の経済成長を遂げて世界第二の経済大国にのし上がる。この国家(中国共産
党)主導資本主義は多くの矛盾を孕みながらも、国際社会に大きな影響力を持つようになった。
著者は1976年、ロンドン生まれ。ハーヴァード大学在学中に北京に留学。2005年から13年まで、
雑誌ニューヨーカーの中国特派員を務めた。この間に接触した中国の意欲的な活動家の行状を
個別に綴ったのが、本書である。この中には獄中でノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏もいるが、
中国政府は未だに受賞自体を認めていない。この中国共産党独裁国家の言論(報道)統制ならび
に反体制を扇動する行為の統制は徹底している。前者を取り仕切るのは共産党宣伝部で一説に
は国民100人に一人の割合だという(おそらく協力者を含めて)。後者は共産党公安部で反体制の
疑義ありとされる人物は、理由は何であれ拘束され何処かへ連れ去られる。いわゆる当局と言わ
れる恐ろしい存在だ。
当局の厳しい目を掻い潜って、意欲的な活動で成功を収めた人達が紹介される。
・貧農の次女に生まれた女子が、当時の婚姻が非常に限られた選択肢のもとで、なかば運命的
出会いで行なわれていたのに着目し、インターネットで「斡旋サイト」を立ち上げて大成功。
・党内のスキャンダルをスクープした高級専門誌を発行して大成功した女性ジャーナリスト、当局
の介入を阻止する一線を心得ていたらしい。
・2008年の北京オリンピックでの聖火リレー妨害運動(直前にチベットで起きた反政府暴動の鎮
圧において、中国政府に対する世界的抗議運動が起こった一環)に世界各国の中国人が愛国
心を発揮した。その有様を動画編成して、ブログにアップした学生が一躍国民的英雄に。この
ケースは当局が大絶賛。
しかし当局からの指弾覚悟の上で、政府に抗議する活動家も紹介される。
・オリンピックの直前に四川省を襲った大地震への政府(中央も地方も)の対応が、被害者無視
の酷い状況に抗議した芸術家・建築家。死亡した被害者の氏名を自ら2年かけて調査し、その
保障を政府に求めた。当局は本人を拘留したり、長年にわたって芸術家としての活動を妨害し
続ける。
・なんと言っても酷いのはノーベル平和賞受賞者の劉暁波氏だ。氏は1989年の天安門広場事件
で、民主化・言論の自由を謳った憲章77を草案し、インターネット経由で世界に問うた。これが
当局の逆鱗に触れたのだ。わずか14分の裁判で投獄、以来自宅軟禁を強いられて、未だに外
界と途絶。中国政府はこの授賞にたいして、ノーベル財団を非難している。
・もうひとつは、盲目の弁護士陳光誠氏の話だ。発端は中国の一人っ子政策の矛盾を指摘したこ
とらしいが、中国の人権問題として、インターネットを通じて海外に解決を求めた点だ。当局は国
内で解決すべき問題を何故海外に求めたのかと、本人を拘束・軟禁状態にしたが、たまたまアメ
リカの弁護士と連絡がとれ、政治問題に発展したが、現在アメリカに亡命中だ。
他にも事例があるが、きりがないので次に進める。
温州で起きた高速列車の衝突事件は未だあのTV画面(列車を土中に埋める)を想起してしまう異
常なものだった。温家宝総理はこの現場を視察し、原因を徹底的に追究すると決意をした。結果、
大利権に群がる大規模な汚職が発覚し、責任者劉志軍鉄道部長は失脚、長大な高速鉄道計画も
大幅に縮小された。この種の事態は現在の中国の体質的なもので誰が当たっても避けられないら
しい。ある中国経済学者はいう。この汚職体質の本質は中国共産党があまりにも多くの資源・資産
を一手に掌握していることから来るのだと。
こう言った利権がらみで私服を肥やすグループと一般市民の所得格差は開くばかりで社会不安
の増大を招いている。気功を活動の主体とする宗教団体「法輪功」の急成長に政府は不安を感じ
てこれをカルト集団として禁止した。そのかわり伝統の儒教促進と称して、海外も含め「孔子学院」
の設立に力を入れているが、良き昔の道徳は失われたままのようだ。しかし信仰に頼る人口は増
大しつつある。現在、中国で公認されている宗教は、道教、仏教、イスラム教、カトリック、プロテス
タントの五つで、信者は国が管理する施設で礼拝を行なうことが可能だ。
著者は9年間の中国滞在中に多くの、話題になった中国人を取材したが、いよいよ任期を終了す
る際にこの国のリーダーが交代した。
胡錦濤氏(前):「われわれは西側の政治体制を模倣することはしない。」
習近平氏(新):「近年における中国人民の最大の夢は、中華民族の偉大な復興を実現することだ。」
新しい7人の政治局常務委員(チャイナ セブン)とともに、この独裁国家は進んで行く。
己に都合の悪いことは一切無視だから、彼等は滅多なことではへこたれないような気がする。
ご注意:この本は上下二段組で450ページもあるので、読み通すのに結構根気が必要だ。
2015年10月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
多面的によく分析されている。表現豊かな描写であるが少し長すぎる。字も小さいので老人(読者75歳)は目が疲れる。
2015年12月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
良くもここまで取材したという関心とともに、分厚い本であるにもかかわらず読みやすさは秀逸でした。原文も翻訳もともによかったのでしょうね。
2016年11月21日に日本でレビュー済み
とある列車事故があった。
救助打ち切りになった後に瓦礫の中から子供が助かった。
「何故こんなことが起きるんだ!」と問われると、中国鉄道部の報道官はこう述べた。「奇跡だ」
これに対して批評家は「中国人民の知性に対する侮辱だ」と指摘したという。
いたって真面目なやり取りなんだろうけれど、シュールなコントを見ているようで笑えます。
マカオのカジノ、中国の婚活サイト、ギリギリのラインで攻防する報道雑誌、斜に構えた若手作家、ひたすら叫ぶだけという英語勉強法、知性こそ芸術だと国に抗うアーティスト…中国で成功を収めた人々を取材した全3部、24章。
厚さに反して、著者と翻訳者の技量の高さにサクサクと読める佳作です。ピューリッツァー賞候補というぐらいなので、読む価値の高い一冊。
救助打ち切りになった後に瓦礫の中から子供が助かった。
「何故こんなことが起きるんだ!」と問われると、中国鉄道部の報道官はこう述べた。「奇跡だ」
これに対して批評家は「中国人民の知性に対する侮辱だ」と指摘したという。
いたって真面目なやり取りなんだろうけれど、シュールなコントを見ているようで笑えます。
マカオのカジノ、中国の婚活サイト、ギリギリのラインで攻防する報道雑誌、斜に構えた若手作家、ひたすら叫ぶだけという英語勉強法、知性こそ芸術だと国に抗うアーティスト…中国で成功を収めた人々を取材した全3部、24章。
厚さに反して、著者と翻訳者の技量の高さにサクサクと読める佳作です。ピューリッツァー賞候補というぐらいなので、読む価値の高い一冊。
2015年10月13日に日本でレビュー済み
以前、別の中国に関する書物でも書いたが、日本で日々報道されている中国に関する情報と本書が提供してくれる情報には隔たりを感じてしまう。著者はアメリカ人だが、反中国というわけではなく、比較的ニュートラルな立場で、取材を重ねており、その記述には信頼がおける。
先行レビューが、かなり詳しいので、評者の印象に残ったことを書いておく。
それは第二部16の「雷雨」。2011年におきた中国の高速鉄道での事故と鉄道関係の部署における汚職の問題。この事故では死者40人、負傷者192人となっている。でも、日本で10年前に起きたJR西日本の脱線事故に比べると死者は少ないなと思い、調べてみると死者107人、負傷者562人の大参事だった。ただ、中国の事故は当初、徹底した情報管理が行われていたのに、日本の場合、情報はオープンだった。その代わり、中国の事故と同じ年にあった震災が原因の原発事故は徹底した情報管理が行われていた。ついでに、書いておくと本書の原著は2014年の刊行で、新幹線の事故死者を開業以来1人と書いている。2015年に自殺の巻き添えで死者が出た時、新幹線で初の事故死者みたいな情報を目にしたが、評者の考えでは著者の書いた方が正しい(発車間際のドアに手だったか指だったかを挟まれ、そのまま新幹線が走行したために死んだと記憶している)。こういった点も、この著者の信頼に繋がっている。
あと、広州駅の建設費が膨れ上がった部分では、国立競技場のことを思い出してしまった。さらに、裁判での有罪率を98パーセントと書き、それが異常であるかのような書き方をしているが、日本の場合の99.9パーセントはどうなのだろうと思ってしまう。
もちろん、日本と中国を比べれは日本はいい国だと思う。そもそも公安が、脅し半分で尾行したりしない(日本の場合、気づかれないようにするはずだ)。それに、こんなこと書いても、削除されることもない(決定的に違うのはこの点だ)。
この著者に、日本について書いてもらい、読んでみたい気がする。
先行レビューが、かなり詳しいので、評者の印象に残ったことを書いておく。
それは第二部16の「雷雨」。2011年におきた中国の高速鉄道での事故と鉄道関係の部署における汚職の問題。この事故では死者40人、負傷者192人となっている。でも、日本で10年前に起きたJR西日本の脱線事故に比べると死者は少ないなと思い、調べてみると死者107人、負傷者562人の大参事だった。ただ、中国の事故は当初、徹底した情報管理が行われていたのに、日本の場合、情報はオープンだった。その代わり、中国の事故と同じ年にあった震災が原因の原発事故は徹底した情報管理が行われていた。ついでに、書いておくと本書の原著は2014年の刊行で、新幹線の事故死者を開業以来1人と書いている。2015年に自殺の巻き添えで死者が出た時、新幹線で初の事故死者みたいな情報を目にしたが、評者の考えでは著者の書いた方が正しい(発車間際のドアに手だったか指だったかを挟まれ、そのまま新幹線が走行したために死んだと記憶している)。こういった点も、この著者の信頼に繋がっている。
あと、広州駅の建設費が膨れ上がった部分では、国立競技場のことを思い出してしまった。さらに、裁判での有罪率を98パーセントと書き、それが異常であるかのような書き方をしているが、日本の場合の99.9パーセントはどうなのだろうと思ってしまう。
もちろん、日本と中国を比べれは日本はいい国だと思う。そもそも公安が、脅し半分で尾行したりしない(日本の場合、気づかれないようにするはずだ)。それに、こんなこと書いても、削除されることもない(決定的に違うのはこの点だ)。
この著者に、日本について書いてもらい、読んでみたい気がする。