戦国時代の日本人は、男も女も、現在の基準で言えば、裸のような格好をしていた。温暖湿潤な気候の日本で、常に麻や絹、木綿などの被服をまとう人々は、当然、富裕層に限られていただろう。まして、なめした動物の毛皮は、被服としては日本文化の主流を占めるものではない。
しかし、源氏物語や宇津保物語には「ふるきのかはぎぬ」というクロ貂の毛皮のことが既に描かれている。これは、渤海との交易によってもたらされたものであるが、その後の三丹貿易でも黒竜江や樺太、アイヌを経由して、密かに愛好されていた。
著者は、博物学の系譜に心惹かれて数多くの名著を世に問うてきた学者である。イェルマークのシベリア探検が良質の毛皮を求めてであったことは有名な話であるが、フレンチーインディアン戦争でのイギリス軍の勝利の影に、インディアンのビーバーの毛皮をフランス人より高い値段で買い取り、巧みに懐柔していたイギリス人の戦略も機能していた。
毛皮と交易、探検と占領。そして、富と支配欲。人間の業に深く関わってきた毛皮と歴史の世界に著者は深く誘おうとする。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
毛皮と人間の歴史 単行本 – 2003/2/1
西村 三郎
(著)
- 本の長さ388ページ
- 言語日本語
- 出版社紀伊國屋書店
- 発売日2003/2/1
- ISBN-104314009306
- ISBN-13978-4314009300
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
クロテン、ビーバー、ラッコ…。毛皮が人間の歴史を左右した時代もあった。毛皮をめぐる壮大な人間のドラマを描く。大仏賞作家の遺作。
登録情報
- 出版社 : 紀伊國屋書店 (2003/2/1)
- 発売日 : 2003/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 388ページ
- ISBN-10 : 4314009306
- ISBN-13 : 978-4314009300
- Amazon 売れ筋ランキング: - 185,122位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中5つ
5つのうち5つ
2グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。