ほとんどの日本人にとって多かれ少なかれ、学校の卒業という人生の節目で「仰げば尊し」という曲には、多くの思い出を持っている。
その曲が140年もの長きにわたり、原曲のつくられた状況や由来が不明であったことは謎であったという。櫻井教授の努力によって、その原曲がアメリカの歌集から発見され、それが無名な存在であったことが明かされ、他の著者も含めて、この曲が「解剖」され、原曲不明であったそのほかの、明治初期の小学唱歌集の全曲の素性も明らかにされたのは、素晴らしい成果である。
「世紀の大発見」と言われているそうだが、その評価も大げさではない。
早稲田大学の「都の西北」なども、近年、その原曲がエール大学の学生歌であり、巷間伝えられる日本人による作曲ではなかったことが明らかにされているが、このような有名な曲がアメリカから来ていたという事実の究明は、ただ音楽史の問題ではなく、日本の文化や社会のありようや、政府を含めた大組織の文化政策全般にかかわり、最近の音楽での「パクリ」現象も、かつての日本もその例外ではなかったことを、あらためて認識すべきであり、このような精緻な研究、つまり真理の探求は今後の我々の歴史認識にも大いに活用すべきだろう。
筆者たちの労苦に感謝したい。
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仰げば尊し 幻の原曲発見と『小学唱歌集』全軌跡 単行本 – 2015/2/12
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長らく不明であった卒業ソングの定番「仰げば尊し」の原曲。しかし2011年、その原曲がつきとめられた。
本書はその発見を中心に、『小学唱歌集』全体を考察、日本の近代歌謡の成立、日本人の心に刻まれ歌い継がれる
歌の成立と受容の過程を解き明かす。日本近代歌謡文化史の空白を埋める画期的考察。
本書はその発見を中心に、『小学唱歌集』全体を考察、日本の近代歌謡の成立、日本人の心に刻まれ歌い継がれる
歌の成立と受容の過程を解き明かす。日本近代歌謡文化史の空白を埋める画期的考察。
- 本の長さ368ページ
- 言語日本語
- 出版社東京堂出版
- 発売日2015/2/12
- ISBN-104490208944
- ISBN-13978-4490208948
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登録情報
- 出版社 : 東京堂出版 (2015/2/12)
- 発売日 : 2015/2/12
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 368ページ
- ISBN-10 : 4490208944
- ISBN-13 : 978-4490208948
- Amazon 売れ筋ランキング: - 473,470位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 805位ワールドミュージック
- - 892位ワールド楽譜・スコア・音楽書
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著者について
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1948 年山口県生まれ。1974年国立音楽大学大学院修士課程修了。2001年より奈良教育大学教育学部教授。2013年定年退職し現在奈良教育大学名誉教授。専門は、19~20世紀の環太平洋地域の音楽文化の変遷について。2001年放送文化基金賞番組部門個別分野「音響効果賞」、2005年社団法人日本童謡協会日本童謡賞・特別賞を受賞。主な著書に、『唱歌と十字架明治音楽事始め』(音楽之友社、1993年)、『バイエルの謎 日本文化になったピアノ教則本』(音楽之友社、2012年)、共著として、『仰げば尊し一幻の原曲発見と「小学唱歌集」全軌跡」(東京堂出版、2015年)、『バイエルの刊行台帳 世界的ベストセラーピアノ教則本が語る音楽史のリアル』(音楽之友社),2021年)などがある。
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2015年3月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年5月15日に日本でレビュー済み
隣家の庭から独特の芳香が薫ってくると思ったら、ミカンの小さな白い花でした。近所の垣根のバラからは甘い香りが漂ってきます。上品な薄いピンクの花は深窓の令嬢の趣です。因みに、本日の歩数は10,823でした。
閑話休題、私たちの時代には卒業式で必ず歌われた「仰げば尊し」は、私の好きな歌の一つです。「仰げば尊し 我が師の恩 教(おしえ)の庭にも はや幾年(いくとせ) 思えばいと疾(と)し この年月(としつき) 今こそ別れめ いざさらば」という歌詞ですが、120年以上もこの歌の原曲が見つからず、研究者の間では「小学唱歌集の最大の謎」とされてきたそうです。
2011年に、遂に原曲が発見された経緯が、『仰げば尊し――幻の原曲発見と「小学唱歌集」全軌跡』(櫻井雅人、ヘルマン・ゴチャフスキ、安田寛著、東京堂出版)に感動的に綴られています。
19世紀後半に、米国の音楽教師・作曲家、ヘンリー・サウスウィック・パーキンズが作曲した「Song for the Close of School(卒業の歌)」だということが判明したのです。
「原曲は、当時アメリカではどこでも見られるごく平凡な歌であった。旋律、韻律、リズム、音楽形式に関してはこの歌は決して特別の歌ではなく、大きな(歌の系統の)家族から出てきた一つのありふれた歌にすぎない。どれもこれもよく似た歌の集団の一員である。『仰げば尊し』の原曲が本国アメリカで記憶から完全に忘れ去られた原因をここに見ることができる。そんな歌が日本に入ってくると今日まで長く愛唱され、人々の記憶にしっかり定着した歌となった。・・・国民の共同体意識、連帯意識を形成してきた歌であった。旋律にもリズムにも全く独創性のない元のアメリカの歌が、『仰げば尊し、我が師の恩、教えの庭にもはや幾とせ』という詞と結びついたとき、日本でこんなに長く愛されるようになったのはなぜなのか。・・・原曲のSong for the Close of Schoolと唱歌『仰げば尊し』とは別の歌であるということが解決のヒントになる。歌が個々人に記憶されるプロセスをかえりみると、音符と言葉から構成されている客観的な要素に欠落(正確に覚えていない箇所)が生じる。しかしそれと同時に、記憶のプロセスで、例えば授業で習った時の教師の声や友だちの顔や教室の匂い、卒業式で歌った時の雰囲気、いっしょに歌った人々との思い出、その時の個人的な気持ちや感情などもすべて一緒に記憶され、その記憶が『仰げば尊し』の歌と一体化するのである」。私の場合も、まさに、このとおりです。
閑話休題、私たちの時代には卒業式で必ず歌われた「仰げば尊し」は、私の好きな歌の一つです。「仰げば尊し 我が師の恩 教(おしえ)の庭にも はや幾年(いくとせ) 思えばいと疾(と)し この年月(としつき) 今こそ別れめ いざさらば」という歌詞ですが、120年以上もこの歌の原曲が見つからず、研究者の間では「小学唱歌集の最大の謎」とされてきたそうです。
2011年に、遂に原曲が発見された経緯が、『仰げば尊し――幻の原曲発見と「小学唱歌集」全軌跡』(櫻井雅人、ヘルマン・ゴチャフスキ、安田寛著、東京堂出版)に感動的に綴られています。
19世紀後半に、米国の音楽教師・作曲家、ヘンリー・サウスウィック・パーキンズが作曲した「Song for the Close of School(卒業の歌)」だということが判明したのです。
「原曲は、当時アメリカではどこでも見られるごく平凡な歌であった。旋律、韻律、リズム、音楽形式に関してはこの歌は決して特別の歌ではなく、大きな(歌の系統の)家族から出てきた一つのありふれた歌にすぎない。どれもこれもよく似た歌の集団の一員である。『仰げば尊し』の原曲が本国アメリカで記憶から完全に忘れ去られた原因をここに見ることができる。そんな歌が日本に入ってくると今日まで長く愛唱され、人々の記憶にしっかり定着した歌となった。・・・国民の共同体意識、連帯意識を形成してきた歌であった。旋律にもリズムにも全く独創性のない元のアメリカの歌が、『仰げば尊し、我が師の恩、教えの庭にもはや幾とせ』という詞と結びついたとき、日本でこんなに長く愛されるようになったのはなぜなのか。・・・原曲のSong for the Close of Schoolと唱歌『仰げば尊し』とは別の歌であるということが解決のヒントになる。歌が個々人に記憶されるプロセスをかえりみると、音符と言葉から構成されている客観的な要素に欠落(正確に覚えていない箇所)が生じる。しかしそれと同時に、記憶のプロセスで、例えば授業で習った時の教師の声や友だちの顔や教室の匂い、卒業式で歌った時の雰囲気、いっしょに歌った人々との思い出、その時の個人的な気持ちや感情などもすべて一緒に記憶され、その記憶が『仰げば尊し』の歌と一体化するのである」。私の場合も、まさに、このとおりです。