色々な心理学のネタが詰まった本。
類書と重複する部分も多いが、本書は「読心術」という軸を採用したことでユニークな書になっている。
タイトルの「人の心は読めるか?」という問いだが、これには微妙なところがある。
我々が相手はこう思っていると自信を持って思うほどには全く読めないが、あてずっぽうよりはあてになる。
これが本書の結論ではないかと思います。
そして、あてにはなるがそれほどあてにはならないということを知っておくことのメリットを教えられます。
様々な実験例を挙げ、人の心の読めなさや、人以外にまで心を適用する傾向などが紹介されます。
私たちがどのような過ちを犯しやすいかを知ること、このことは大切なのだと思います。
私たちの愚かさを知ることで、きっと人に対しても自分に対してもちょっと寛大になれる、そんな本でした。

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人の心は読めるか? 単行本(ソフトカバー) – 2015/1/23
三谷宏治氏(『経営戦略全史』)、推薦!
「自分がもっとも理解できていない相手は自分自身。
そんなコワい指摘からはじまる、真の他者理解への8つのステップ! 」
「上司は自分を高く評価している」「あの人はきっと噓をついている」「夫の考えることは聞かなくてもわかる」――。
私たちは日々、相手の心を推測して生きている。ところが実は、もっとも近しい人の心でさえ、知らず知らずのうちに読み誤っていることが実験で明らかに。
誤解や勘違いを引き起こす脳の“罠"を知っておけば、うまく人間関係を築き、人を動かすことができるはず。
シカゴ大学ブース・ビジネススクールで教鞭をとる心理学界の気鋭が、相手の心を正しく読むための「8つのステップ」を解き明かす。
スティーヴン・D・レヴィット(『ヤバい経済学』)
「親しみやすい社会科学の本が数多く刊行されているなか、近年まれにみる、知的で楽しめる一冊」
リチャード・セイラー(『実践 行動経済学』)
「心理学界の新星が著した、無意味な口ゲンカを防ぎ豊かな人間関係を築く方法を教えてくれる本」
■著者紹介 ニコラス・エプリー Nicholas Epley
シカゴ大学ブース・ビジネススクール教授。心理学を専門とする。2008年に性格・社会心理学会より「セオレティカル・イノベーション賞」を受賞。2011年にはアメリカ心理学会より若手研究者に贈られる優秀学術賞を受賞している。また、『フィナンシャル・タイムズ』紙に「注目すべき教授」に挙げられているほか、CNNによって「ビジネススクールの新進若手教授8人」の1人に選ばれている。
■訳者略歴 波多野理彩子
翻訳家。一橋大学社会学部卒。繊維・化学メーカーで広報業務に携わったあと、翻訳業に入る。国際ニュース誌『クーリエ・ジャポン』の翻訳なども手がける。訳書にスコット&ジュレック『月をマーケティングする』(共訳)、ライス『ライス回顧録』(共訳)、ピーリング『最良の管理職とは何か』などがある。
「自分がもっとも理解できていない相手は自分自身。
そんなコワい指摘からはじまる、真の他者理解への8つのステップ! 」
「上司は自分を高く評価している」「あの人はきっと噓をついている」「夫の考えることは聞かなくてもわかる」――。
私たちは日々、相手の心を推測して生きている。ところが実は、もっとも近しい人の心でさえ、知らず知らずのうちに読み誤っていることが実験で明らかに。
誤解や勘違いを引き起こす脳の“罠"を知っておけば、うまく人間関係を築き、人を動かすことができるはず。
シカゴ大学ブース・ビジネススクールで教鞭をとる心理学界の気鋭が、相手の心を正しく読むための「8つのステップ」を解き明かす。
スティーヴン・D・レヴィット(『ヤバい経済学』)
「親しみやすい社会科学の本が数多く刊行されているなか、近年まれにみる、知的で楽しめる一冊」
リチャード・セイラー(『実践 行動経済学』)
「心理学界の新星が著した、無意味な口ゲンカを防ぎ豊かな人間関係を築く方法を教えてくれる本」
■著者紹介 ニコラス・エプリー Nicholas Epley
シカゴ大学ブース・ビジネススクール教授。心理学を専門とする。2008年に性格・社会心理学会より「セオレティカル・イノベーション賞」を受賞。2011年にはアメリカ心理学会より若手研究者に贈られる優秀学術賞を受賞している。また、『フィナンシャル・タイムズ』紙に「注目すべき教授」に挙げられているほか、CNNによって「ビジネススクールの新進若手教授8人」の1人に選ばれている。
■訳者略歴 波多野理彩子
翻訳家。一橋大学社会学部卒。繊維・化学メーカーで広報業務に携わったあと、翻訳業に入る。国際ニュース誌『クーリエ・ジャポン』の翻訳なども手がける。訳書にスコット&ジュレック『月をマーケティングする』(共訳)、ライス『ライス回顧録』(共訳)、ピーリング『最良の管理職とは何か』などがある。
- 本の長さ335ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2015/1/23
- ISBN-104152095172
- ISBN-13978-4152095176
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2015/1/23)
- 発売日 : 2015/1/23
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 335ページ
- ISBN-10 : 4152095172
- ISBN-13 : 978-4152095176
- Amazon 売れ筋ランキング: - 584,512位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 17,814位心理学 (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年8月11日に日本でレビュー済み
人の心を読めるか?
題名が気になり購入した。
読んでみての感想は、心の読むスキルを説明している本ではなく、
逆に心を読むことがいかに難しいかがわかる本だということだ。
読んで気づいたこと
・実は自分の心を読むことも難しいということ
・様々な読心術も状況により活用でき、状況により活用できないということ
・相手に聞くという簡単だが、一番確実な方法がある
相手のことは相手に聞くことが確実だが、今度は聞き方が問題になってくる。
相手の置かれている状況を聞き、相手の情報を増やしつつ、
相手の心を想像していく。
そんな努力を惜しまないことが一番の近道であると感じました。
題名が気になり購入した。
読んでみての感想は、心の読むスキルを説明している本ではなく、
逆に心を読むことがいかに難しいかがわかる本だということだ。
読んで気づいたこと
・実は自分の心を読むことも難しいということ
・様々な読心術も状況により活用でき、状況により活用できないということ
・相手に聞くという簡単だが、一番確実な方法がある
相手のことは相手に聞くことが確実だが、今度は聞き方が問題になってくる。
相手の置かれている状況を聞き、相手の情報を増やしつつ、
相手の心を想像していく。
そんな努力を惜しまないことが一番の近道であると感じました。
2018年11月24日に日本でレビュー済み
この本でいう読心術とは私たちが日々の暮らしの中で、相手の考えや感情や望みや意図をとっさに推し量るときに一日に何度もやっていることだ。
読心術のおかげで、人生に価値をもたらしてくれる親しい関係が築けたり、他人から望み通りの評価をもらえたり、チーム内でうまく仕事ができたり、ライバルより優位に立ったり長く生き残ったりすることもできている。
読心術は、あらゆる人間関係の土台を作り、推測と過程の網を張り巡らすもので、そのおかげで広いsh買いがうまく機能しているともいえる。
それが真の意味での「第六感」なのだ。
しかしながら第六感というのは我々が考えているより操るのは難しい。
実際、本心とうそを見分ける能力は、コイントスより数%正答率が高いだけであることが分かっている。
真実とうそを見分ける能力の正答率は54%だったがあてずっぽうの推測が当たる確率も50%なのだ。
だから、洞察力というのもある意味で幻想だ。
第六感を考えるうえで、まずは自分のことを知ることは重要だ。
自分の考えならよくわかっていると思われがちだが、それも幻想にすぎない。
自分のことでさえ間違っていることが多いのだ。
実際、あるタスクの締め切りに関する実験で、被験者が99%の確信をもって達成できると思っていた日数までに作業の45%しか終わっていなかったという実験結果もある。
次に相手の心に目を向けること。
相手の心に無関心だと相手は「知性のない」存在に思えてくる。
相手との距離を縮め、第六感を働かせることが大事だ。
自分を過信せず、相手に関心をもつこと。
これが洞察力を高めるためにも重要だということだ。
読心術のおかげで、人生に価値をもたらしてくれる親しい関係が築けたり、他人から望み通りの評価をもらえたり、チーム内でうまく仕事ができたり、ライバルより優位に立ったり長く生き残ったりすることもできている。
読心術は、あらゆる人間関係の土台を作り、推測と過程の網を張り巡らすもので、そのおかげで広いsh買いがうまく機能しているともいえる。
それが真の意味での「第六感」なのだ。
しかしながら第六感というのは我々が考えているより操るのは難しい。
実際、本心とうそを見分ける能力は、コイントスより数%正答率が高いだけであることが分かっている。
真実とうそを見分ける能力の正答率は54%だったがあてずっぽうの推測が当たる確率も50%なのだ。
だから、洞察力というのもある意味で幻想だ。
第六感を考えるうえで、まずは自分のことを知ることは重要だ。
自分の考えならよくわかっていると思われがちだが、それも幻想にすぎない。
自分のことでさえ間違っていることが多いのだ。
実際、あるタスクの締め切りに関する実験で、被験者が99%の確信をもって達成できると思っていた日数までに作業の45%しか終わっていなかったという実験結果もある。
次に相手の心に目を向けること。
相手の心に無関心だと相手は「知性のない」存在に思えてくる。
相手との距離を縮め、第六感を働かせることが大事だ。
自分を過信せず、相手に関心をもつこと。
これが洞察力を高めるためにも重要だということだ。
2016年1月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人の心はなかなか読めるものではないことを学んだ。この本は正月に老人ホームにいる私のもとを訪ねた息子にプレゼントしました。そして安全・安心・安泰の保障は時間と空間の原理、すなわち人の人生観、価値観、は言葉・会話・仲間意識で決まり、人が”こころ”の”平常心”を保つことの複雑さ、すなわち心の安全保障(セキュリティ)の難しさにあると思う。日本語の難しさを考えさせる書である。
2017年8月7日に日本でレビュー済み
各種の実験を通して,人の心を理解するのが難しいことを説明しています.
明らかな状況の下ではある程度の理解は可能(要は察するってやつ)
だが細かい部分などは分からない.
よく知っている人の方が理解しやすい,それでも細かい部分わからない.
もっと言うと自分ことでさえはっきりとは理解できていないというところ
(最初の方の章だが)はすこし驚いた.
結論として,その人に聞くのが一番よいという当たり前の結論になるが
ここでも,単に聞いただけでは,正しいことを得られるとは限らず,
そのような事を言っても罰が与えられない環境を作る必要があるとある.
結果としては当たり前だが,この結論を知っていれば,
変に思い悩む必要も無く,直接聞いてみようと思えるのでかえって良いかもしれません.
明らかな状況の下ではある程度の理解は可能(要は察するってやつ)
だが細かい部分などは分からない.
よく知っている人の方が理解しやすい,それでも細かい部分わからない.
もっと言うと自分ことでさえはっきりとは理解できていないというところ
(最初の方の章だが)はすこし驚いた.
結論として,その人に聞くのが一番よいという当たり前の結論になるが
ここでも,単に聞いただけでは,正しいことを得られるとは限らず,
そのような事を言っても罰が与えられない環境を作る必要があるとある.
結果としては当たり前だが,この結論を知っていれば,
変に思い悩む必要も無く,直接聞いてみようと思えるのでかえって良いかもしれません.
2020年5月4日に日本でレビュー済み
この本は、日常で我々がいかに人の心や性質を「読んだつもり」になっているかを、豊富な実験を通じて教えてくれる本です(タイトルからは安易な読心術・心理学の入門書のようで、損をしていると思います)。
紹介されているもっとも印象的な実験から。
男性と女性、それぞれ同数の被験者に対し、「企業は子供が生まれた社員に有給休暇を与えるべきか」「『男性が外で就労、女性が家事』という考え方に賛成するか」というを与えます。すると、一般的なステレオタイプどおりの傾向(男性は女性に比べて有給休暇を与えるべきでないか多くなる等)が現れます。
一方で、実際にはその傾向は非常に小さな差にしかならないにもかかわらず、回答者に異性の回答を予想してもらうと、異性はより極端に回答が偏るはず、と予想してしまうのです。
このように、我々はステレオタイプに大げさに振り回され、お互いの対立を深めてしまう傾向にあるのです。
この本では、上記の実験のように、我々が人の心をどのように推し量るか、そして、それがいかに極端で、間違いやすく、対立を煽るものであるかを、豊富な実験と、結果を分析し、更なる別の実験を紹介する連なりによって明らかしてくれます。
極端な政治的言説が幅を利かせ、twitter等での炎上騒動が起こり続けている、現在において、自身・周囲の状況を冷静に見つめ、安易な偏見に陥らないようにするために必読の一冊です
。
紹介されているもっとも印象的な実験から。
男性と女性、それぞれ同数の被験者に対し、「企業は子供が生まれた社員に有給休暇を与えるべきか」「『男性が外で就労、女性が家事』という考え方に賛成するか」というを与えます。すると、一般的なステレオタイプどおりの傾向(男性は女性に比べて有給休暇を与えるべきでないか多くなる等)が現れます。
一方で、実際にはその傾向は非常に小さな差にしかならないにもかかわらず、回答者に異性の回答を予想してもらうと、異性はより極端に回答が偏るはず、と予想してしまうのです。
このように、我々はステレオタイプに大げさに振り回され、お互いの対立を深めてしまう傾向にあるのです。
この本では、上記の実験のように、我々が人の心をどのように推し量るか、そして、それがいかに極端で、間違いやすく、対立を煽るものであるかを、豊富な実験と、結果を分析し、更なる別の実験を紹介する連なりによって明らかしてくれます。
極端な政治的言説が幅を利かせ、twitter等での炎上騒動が起こり続けている、現在において、自身・周囲の状況を冷静に見つめ、安易な偏見に陥らないようにするために必読の一冊です
。
2016年4月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
冒頭通りの結論で、ある意味、驚く。
色々、述べられているが、思いこみで、相手はこうこう考えている、あの人はアレコレというタイプだと断定することは良くないということだけが
この本の抽出すべき内容であるのだろう。
ひと言でかたずけるなら、
『読心術なんてスキルは身につけられるものではない』
ということ。
色々、述べられているが、思いこみで、相手はこうこう考えている、あの人はアレコレというタイプだと断定することは良くないということだけが
この本の抽出すべき内容であるのだろう。
ひと言でかたずけるなら、
『読心術なんてスキルは身につけられるものではない』
ということ。
2018年4月30日に日本でレビュー済み
本書は「人の心はどれくらい読むことが出来るか」を、実験を通じて明らかにしていく本である。
結論から先に言ってしまうと、確かに人はある程度他人の心を読むことが出来るが、しかし問題なのはそれよりもはるかに高いレベルで「自分は人の心が読める」、あるいは「人は自分の心を理解してくれるはず」と考えてしまう点であり、その著しい過信によって誤解やトラブルが生じるのである。
例えば、人は自分がグループの人から平均的にどう思われているか(グループの人の評価の平均値)については精度よく予測が出来るが、特定の人からどう思われているかについては当てずっぽうと同程度の精度しか出ないという。
カップルや夫婦に対し、一方に五択のアンケートを行い、もう一方にパートナーの回答を予測させると、当てずっぽうよりは良い精度(4割強)で当たるが、一方「自身が考える予測の正答精度」は8割超と大幅に過大評価している。
他にも、メールでは真面目と皮肉の区別が受け手はほとんど付けられないのに対し、送り手は8割以上正しく読んでもらえるし、受け手も正しく読めたと錯覚していること、共和党支持者と民主党支持者に望ましい富の分配パターンにについてアンケートをとると、傾向は正しく予想できるものの実は両者の回答にわずかしか差がないのに、差の存在をはるかに大きく見積もってしまうこと、など興味深い事実が提示されている。
相手の立場に立って考えるというのは、自己中心性を捨てるための有効な方法だが、実はこれは必ずしも有効でない。
特に相手に対して固定的なイメージ、ステレオタイプを持っている場合、「相手の立場に立って考える」ことはその偏見を増幅させることになり、相手の気持ちをむしろ理解しづらくさせてしまう。
本書では結局、相手の気持ちを「想像する」のではなく、相手に気持ちを「直接聞く」のが最適な手段だと結論付けている。
言ってしまえば元も子もない話だが、分からないならば相手に実際に聞いてしまう、あるいは少なくとも婉曲的に発言を引き出すのが最適なのである。
マインドリーディング的に「人の心を読みたい」という人にはいいニュースではないかもしれないが、しかし科学的に堅実に事実を積み上げて、人は心をそこまで読めないのであり、直接聞く方がいいと結論付けており、これは我々がコミュニケーションの出発点にすべき事実であろう。
結論から先に言ってしまうと、確かに人はある程度他人の心を読むことが出来るが、しかし問題なのはそれよりもはるかに高いレベルで「自分は人の心が読める」、あるいは「人は自分の心を理解してくれるはず」と考えてしまう点であり、その著しい過信によって誤解やトラブルが生じるのである。
例えば、人は自分がグループの人から平均的にどう思われているか(グループの人の評価の平均値)については精度よく予測が出来るが、特定の人からどう思われているかについては当てずっぽうと同程度の精度しか出ないという。
カップルや夫婦に対し、一方に五択のアンケートを行い、もう一方にパートナーの回答を予測させると、当てずっぽうよりは良い精度(4割強)で当たるが、一方「自身が考える予測の正答精度」は8割超と大幅に過大評価している。
他にも、メールでは真面目と皮肉の区別が受け手はほとんど付けられないのに対し、送り手は8割以上正しく読んでもらえるし、受け手も正しく読めたと錯覚していること、共和党支持者と民主党支持者に望ましい富の分配パターンにについてアンケートをとると、傾向は正しく予想できるものの実は両者の回答にわずかしか差がないのに、差の存在をはるかに大きく見積もってしまうこと、など興味深い事実が提示されている。
相手の立場に立って考えるというのは、自己中心性を捨てるための有効な方法だが、実はこれは必ずしも有効でない。
特に相手に対して固定的なイメージ、ステレオタイプを持っている場合、「相手の立場に立って考える」ことはその偏見を増幅させることになり、相手の気持ちをむしろ理解しづらくさせてしまう。
本書では結局、相手の気持ちを「想像する」のではなく、相手に気持ちを「直接聞く」のが最適な手段だと結論付けている。
言ってしまえば元も子もない話だが、分からないならば相手に実際に聞いてしまう、あるいは少なくとも婉曲的に発言を引き出すのが最適なのである。
マインドリーディング的に「人の心を読みたい」という人にはいいニュースではないかもしれないが、しかし科学的に堅実に事実を積み上げて、人は心をそこまで読めないのであり、直接聞く方がいいと結論付けており、これは我々がコミュニケーションの出発点にすべき事実であろう。